理化学研究所 計算科学研究センター

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スーパーコンピュータ「富岳」開発プロジェクト フラッグシップ2020プロジェクト

新型コロナウイルス関連タンパク質に対するフラグメント分子軌道計算(課題代表者;立教大学 望月 祐志)

この課題について

阻害剤と相互作用する重要残基群

阻害剤と相互作用する重要残基群

新型コロナウイルスは人間などの細胞内の仕組みを借りて増殖します。ウイルスは細胞に侵入し、自身が持っている「遺伝物質(RNA)」をもとに細胞内でウイルスの材料を作らせます。その材料をちょうどよい長さに切るなど加工して組み合わせ、新たなウイルスを増やしていくのです。この過程にはウイルス自体が持っている、あるいは細胞内で作られたさまざまなタンパク質や酵素が関わっています。これらの働きを薬物で止めることができればウイルスの増殖を抑えることができます。

タンパク質同士がどう作用しあっているか、どんな化学物質と強く結合するのか、などの性質は分子が持つ電子の状態で決まりますが、その様子は観察できるものではありません。そこで、量子力学の法則に従って計算を行うことで電子状態を明らかにしていきます。

この研究では、タンパク質のような大きな分子を計算するために工夫された「フラグメント分子軌道計算法」と「富岳」の計算能力を活用します。得られた結果をデータベースで公開し、新薬開発のための基礎情報を提供します。

もっと知りたい:分子軌道計算とは?

【記事】日本初の理論計算手法により新しい創薬基盤の確立を目指す(「京」を中核とするHPCI利用研究課題成果事例集V)
【記事】シミュレーションで物質の性質を予測(計算科学の世界no.18)

参考資料



ウイルスの増殖メカニズム 概念図

コロナウイルスの増殖メカニズム 概念図
(クリックで拡大します)

参考:コロナウイルスの増殖メカニズム

  1. 1) 細胞表面のレセプタータンパク質にウイルスのタンパク質が結合する。
  2. 2) 結合したウイルスが細胞に取り込まれる。
  3. 3) ウイルスRNA(遺伝物質)が放出される。
  4. 4) 細胞内に放出されたウイルスRNAが、コピーされると同時に細胞の機能を乗っ取り、ウイルスタンパク質を合成する。(このタンパク質合成の過程で作られたウイルスの酵素が、ほかのウイルスタンパク質の仕上げのトリミングを行う。)
  5. 5) 生成されたウイルス粒子が細胞から放出される。