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ハイパフォーマンス・コンピューティングで未来を拓くR-CCS
―「計算の 計算による 計算のための科学」―

社会の革新的発展を目指し、科学や社会が抱える課題の解決に貢献するため、「シミュレーション」「ビッグデータ解析」「AI」を融合した最先端の研究を、ハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)で実践する。それがR-CCSの使命です。

複雑で高度な現代社会の課題解決を目指して

科学技術の発展と社会のグローバル化は多くの恩恵を人類にもたらす一方で、その急激な進展は複雑で高度な科学的課題や社会的課題を生み出しました。これらの課題は相互に作用しながら絡み合っており、その解決のためにグローバルな枠組みの中でSDGs(※1)という大きな方向づけが行われました。これは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)な目標であり、多様な主体(政府、産業界、アカデミア、市民など)が課題解決のシナリオを描き、さまざまな取り組みを進めています。
日本でも政府や経済団体が旗振り役となり、デジタル革新と人々の多様な想像・創造力により、課題を解決し価値を創造する持続可能な社会を目指す動きが加速しています。

※1:Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)。2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています。

図:Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)

計算科学とデータ科学とAIの融合へ

これまで人間社会は「仮説を立て理論を築く理論科学」と「実験や観測によって仮説を実証する実験科学」の力で、さまざまな課題を解決し発展してきました。さらに、ここ数十年で急速に発展してきたコンピュータの力によって第3の科学的手法、すなわち「モデルに基づいてシミュレーションを行い分析する計算科学」が登場し、これまでの手法だけでは困難だった、複雑で大規模な問題や観測・実験が困難な問題などに取り組むことが可能になりました。また、近年では、流通データ量の爆発的増加と機械学習の進化などを背景として、ビッグデータ解析やAIによる推論を対象とする「データ科学」が、「計算科学」に次ぐ第4の科学的手法としてその存在感を強めています。
コンピュータが進化したことによって科学・社会が変化するとともに、変化した科学・社会からの要求が高度になっていくことによって、コンピュータとそれを取り巻く科学的手法もまた発展してきたのです。

あらゆるモノ、空間、機能、サービスがスマート化し、つながり合う複雑な世界が確実に現実化しつつあります。このような社会における複雑に絡み合った課題の解決方法の一つが、「さまざまな社会システムの横断的な連携と最適化」です。それを実現するためには、コンピュータの中に再現した仮想社会と実社会を膨大なデータで繋ぎ合わせ、シミュレーション・ビッグデータ解析・AIによる予測の繰り返しにより解決策を検証する必要があり、それらの下地となるHPC(高性能計算)の役割がますます重要になってきます。
このような時代だからこそ、R-CCSは計算科学とデータ科学、そしてAIとの融合により、科学技術や社会の変化を見据えた第5の科学的手法をHPCにより確立することを目指します。

現実空間(フィジカル) 仮想空間(サイバー)
演繹的モデル駆動型 理論科学 計算科学(第3の科学)
帰納的データ駆動型 実験科学 データ科学(第4の科学)

北川源四郎(2018)「巻頭言:データサイエンス時代の横幹連合」, 『横幹連合会誌“横幹”』, 第12巻, 第2号より。一部改変を加えた。

「計算の、計算による、計算のための科学」で未来を拓く

SDGsに示されるような、そこに暮らす一人ひとりが豊かさを感じることができる、そんな未来社会への針路を探り当てるにはHPCの力が必要です。R-CCSはHPCに関する世界トップレベルかつ我が国の中核的研究拠点として、「計算の、計算による、計算のための科学」を旗印に掲げ、国内外の諸機関との連携のもとスーパーコンピュータを時代に先駆けて開発し、高度なシミュレーション・ビッグデータ解析・AIを融合させ、その成果をさまざまな科学分野や社会に還元しています。そして、将来の未知なる課題にも力を発揮でき、人々の想像を超える科学のブレークスルーを起こすために、HPCの本質を究め、その可能性を広げる研究にも取り組んでいきます。
HPCの本質を究めることは、人類の未来への道を拓くことなのです。

計算科学研究センター(R-CCS)は、スーパーコンピュータを中心とした高性能な「計算」という事象自身を「計算の科学」として探求し、それによって得られる莫大な計算パワーを様々な科学分野の問題解決に適用してそれらの発展に寄与する「計算による科学」を推進します。さらに、光・量子・ニューロモルフィックなど、他の科学領域からもたらされる、これまでと異なる計算原理の研究にも「計算の科学」「計算による科学」の両面から貢献していきます。R-CCSは、これら「計算の科学」「計算による科学」「計算のための科学」の相乗効果と融合により、国内外の産業界や大学・研究組織に対して先導的なハブとしての役割を果たすとともに、高度な計算科学技術を持つ人材の育成にも取り組みます。

R-CCSの研究活動が結実したスーパーコンピュータ「富岳」

R-CCSは2012年から2019年までスーパーコンピュータ「京」を極めて安定的に運用し、研究機関・大学にとどまらず産業界からの利用等を通じ、幅広い分野で世界トップレベルの成果を創出しシミュレーションの可能性を拓いてきました。2014年以降は「京」の後継機であるスーパーコンピュータ「富岳」の開発を進め、2021年3月に共用を開始しました。R-CCSのHPCの研究活動が結実した「富岳」の力で、今後の科学や社会の課題解決に貢献していきます。