トップページ    イベント・広報    お知らせ一覧    EuroHPC JUと理研R-CCSがHANAMIプロジェクトにおけるスーパーコンピュータ「富岳」利用拡大に向けた基本合意書(LOI)を締結

2025年6月11日、計算科学分野における国際会議である「ISC2025」の場において、EuroHPC JU[1]と理研計算科学研究センター(R-CCS)が「富岳」利用拡大に向けた基本合意書(LOI:Letter of Intent)の署名式を実施し、HANAMIプロジェクト[2]に参加するより多くの研究機関が「富岳」を活用することが可能となりました。

ヨーロッパと日本の計算科学分野の研究者の力を結集し、グローバルトップレベルのエクサスケールおよびその先の課題に取り組むため、先進的な研究機関やスーパーコンピューティングセンターが連携し、2024年にHANAMIコンソーシアムが発足しました。このコンソーシアムは、EuroHPC JUに所属する研究機関と、R-CCS・東京大学等のHPCI[3]システム構成機関にて構成され、HANAMIプロジェクトとして共同研究が実施されています。

本プロジェクトでの主たる活動分野は、WP4(Climate and weather modelling)、WP5(Biomedical application)、WP6(HPC for future materials design)で構成されており、R-CCSも、それぞれのWPに参画しています。

HANAMIプロジェクトでは、欧州と日本の研究機関が連携し、最先端の科学研究を推進中で、「富岳」を活用した研究のニーズが高まっており、プロジェクト全体としての研究加速に向けて、より多くの参加機関が「富岳」を利用できる環境の整備が求められていました。

これまで、EuroHPC JUに属する一部の研究機関とは、R-CCSが個別に「富岳」利用に関する協定を締結しており、それらの機関ではすでに「富岳」を活用した研究が進められています。

左:松岡 聡 センター長(理化学研究所計算科学研究センター) 右:Anders Jensen 氏(EuroHPC JU エグゼクティブ・ディレクター)

一方で、協定を締結していない研究機関に所属するHANAMIプロジェクトのメンバーは、「富岳」を利用できない状況にあり、「富岳」を利用したいとの要請が届いていました。

このような背景を受けて、HANAMIプロジェクトの枠組みのもとで、より多くの研究者が「富岳」を活用できるよう、EuroHPC JUとR-CCSとの間で協議を重ねた結果、「富岳」利用に関する基本合意書(LOI)を締結する運びとなりました。

今後、日本と欧州の計算科学分野における主導的協働活動であるHANAMIプロジェクトの推進において、日本の誇る計算基盤である「富岳」が計算科学領域の先導的研究や、社会課題解決のための研究に活用されることが期待されます。

  • [1]EuroHPC JU:EuroHPC JUウェブサイト(英語)
  • [2]HANAMIプロジェクト:HANAMI Consortium(HANAMIプロジェクトウェブサイト、英語)新しいタブでサイトが開きます
  • [3]HPCI:日本では、大学や研究機関が持つスーパーコンピュータを、まるでひとつの巨大なコンピュータのように使える仕組みがあります。それが「HPCI」と呼ばれるシステムです。このHPCIは、全国にある高性能な計算機やデータ保存装置を、高速なネットワークでつなぎ、研究者たちがどこからでも効率よく使えるようにしたもの。たとえば、東京の大学にいる研究者が、北海道や九州にあるスーパーコンピュータの力を借りて、複雑なシミュレーションやデータ解析を行うことができます。この仕組みによって、医療、気象、エネルギーなど、さまざまな分野で画期的な研究成果が生まれています。また、若手研究者の育成や、スーパーコンピュータを使った研究のすそ野を広げることにもつながっています。HPCIは、日本の科学技術の発展や、世界との競争力を高めるための大きな柱となっているのです。 HPCIポータルサイト新しいタブでサイトが開きます

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(2025年6月12日)