トップページ    イベント・広報    お知らせ一覧    【成果創出加速プログラム】6次元の揺らぎがもたらす準結晶の奇妙な物性

東京大学情報基盤センターの永井佑紀准教授、物質材料研究機構の岩﨑祐昂研究員らの研究グループは、「準結晶」であるAl-Pd-Ru(アルミニウム-パラジウム-ルテニウム)系物質群において、高温域で通常の結晶ではあり得ないほど比熱が大きくなることを発見し、同時に機械学習分子動力学シミュレーションから、その高温比熱の起源が、高次元の構造体とみなせる準結晶の6次元空間での揺らぎに起因するアルミニウム原子の拡散にあることを突き止めました。

本研究では、機械学習モデル自動構築法を利用して作成した高精度なモデルを用い、大規模で長時間安定な分子動力学シミュレーションを行うことで、世界で初めて、準結晶の高次元性に由来する原子の拡散現象が生じること、また、その原子拡散が実験で測定される比熱に現れることを明らかにしました。

本研究によって、複雑な物質において実験と比較可能な機械学習シミュレーション手法を確立することができました。今後この手法を用いることで、準結晶を熱と電気を相互変換する材料(熱電材料)として用いたり、電池材料におけるイオン伝導の特性を解明したりするなど、準結晶に限らず様々な材料の開発が加速すると期待されます。

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(2024年5月14日)