トップページ    イベント・広報    お知らせ一覧    「富岳」Graph500のランキング結果について -ビッグデータの処理で重要となるグラフ解析で最高の評価-

理化学研究所、東京工業大学、株式会社フィックスターズ、日本電信電話株式会社、富士通株式会社による共同研究グループは、スーパーコンピュータ「富岳」 を用いた測定結果を大幅に向上させ、大規模グラフ解析に関するスーパーコン ピュータの国際的な性能ランキングである「Graph500」のBFS(Breadth First Search:幅優先探索)部門において世界第1位を獲得しました。「富岳」としては9期連続で世界第1位となります。

このランキングは、ドイツ ハンブルクのコングレス・センター・ハンブルクおよびオンラインで開催中の HPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング:高性能計算技術)に関する国際会議「ISC High Performance 2024」に合わせて、Graph500 Committee から発表されました。

大規模グラフ解析の性能は、大規模かつ複雑なデータ処理が求められるビッグ データの解析における重要な指標です。共同研究グループは、「富岳」を用いた 大規模グラフ処理技術の開発を引き続き進めていきます。

詳細は下記プレスリリースをご確認ください。

中尾昌広 技師のコメント

最初に「富岳」の全計算機(158,976台)を用いてGraph500の結果を投稿した のは2020年11月で、その性能は102,955 GTEPS[1]でした。2023年6月はア ルゴリズムの最適なパラメータを自動決定する機能の開発により、137,096 GTEPSに性能向上しました[2]。さらに今回は不要な頂点を削除する機能の開発 により、166,029 GTEPSに性能向上しました。また、グラフデータの新しい圧 縮技術の開発により、利用メモリ量を大幅に削減できています。このように、「富岳」のような超大規模システムであっても、アルゴリズムの工夫によって、 性能向上とリソース効率化の両方を達成できることを示しました。 本プロジェクトを遂行するにあたり、「富岳」をほぼ独占してベンチマーク計測 を行うため、その準備は綿密かつ時間を要しました。具体的には、上で述べた新 しい機能の開発、それらを組合せた場合の動作検証、OSレベルでのシステム最適 化、電力測定など多岐にわたります。また、ベンチマーク計測時にハードウェア 故障が発生した際に迅速に対処できるようなシステム監視体制およびサポート体 制を整えました。これらの体制は、理化学研究所の運用技術部門のメンバーだけで なく、富士通株式会社や高度情報科学技術研究機構の方々の協力のもとで行われ ました。この場をお借りして深く感謝申し上げます。

補足説明
  • [1] TEPS(Traversed Edges Per Second):1秒間に走査するグラフのエッ ジ数。GTEPSはGiga TEPSの略であり、TEPSを10億で割った数値。
  • [2] 2023年6月以降の結果は、「富岳」の一部は他の用途で用いているため、全計算機よりも4.3%ほど少ない152,064台の利用。

プレスリリース

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(2024年5月13日)