トップページ    イベント・広報    お知らせ一覧    【成果創出加速プログラム】機械学習を組込んだ第一原理強相関電子状態計算法を用いて、銅酸化物超伝導の物質依存性を定量再現し、超伝導を制御する主成分が明らかに

1986年に銅酸化物で臨界温度の高い高温超伝導体が発見されて以来、銅酸化物は常圧での最高の臨界温度の記録を今も保持し続けています。その間、実験的にも理論的にも多くの進歩が積み重ねられてきました。しかし絶対温度で10K(摂氏マイナス263度)以下から130K(摂氏マイナス143度)以上にわたる、一連の銅酸化物超伝導体の最適臨界温度の多様性をはじめとして、多様な物質依存性を支配するミクロな原因は、今まで物理学における主要な謎の一つとして残されてきました。この困難は銅酸化物が強相関電子系という、電子間のクーロン斥力の効果が大きな物質群に属し、この強い相互作用から生じる複雑で困難な多体問題を現実物質に即して解くことが必要であることも、一因となっています。

早稲田大学のシュミット ミヒャエル トビアス次席研究員(研究院講師)、モレ ジャン バティスト 次席研究員(研究院講師)、早稲田大学/上智大学の金子隆威(かねこりゅうい)研究院准教授/客員准教授、物質・材料研究機構の山地洋平(やまじようへい)グループリーダー、早稲田大学/上智大学/東京大学の今田正俊(いまだまさとし)上級研究員(研究院教授)/客員教授/名誉教授(いずれも研究当時)は、この謎を解くために、銅酸化物に対して導いてあった第一原理計算に基づく任意パラメタのない有効ハミルトニアンから出発しました。有効ハミルトニアンは物性を決定する多体電子の支配方程式を与え、磁性や超伝導を始めとする現象の予測を可能とします。このハミルトニアンに対して、機械学習手法を組み込んだ最先端の量子多体計算法と独自開発した計算コードを使い、スーパーコンピュータ「富岳」や東大物性研究所スーパーコンピュータを活用した大規模計算をもとに、実験結果を再現する結果を得て、4種の物質の詳細な物質依存性や差異と、共通性を両方明らかにしました。

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(2023年11月29日)