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昨年度はコロナ禍にて中止となりました国際サマースクールについて、今年度は、昨年度選定者を対象にオンラインにて実施しました。大学院生・若手研究者を対象とした“International HPC Summer School 2021”は、HPC関連分野において国際的に活躍できる人材を育成することを目的に、自然科学や人工知能など各サイエンス分野における最先端の講演と、実際に大型計算機を利用してプログラミングや可視化などを行うハンズオンセッション、そして参加者によるElectronic Poster Sessionが行われます。日本からは8名の受講者に加え、講師として青木百合子教授(九州大学大学院総合理工学研究院)、坪倉誠チームリーダー(理化学研究所計算科学研究センター)、三好建正チームリーダー(理化学研究所計算科学研究センター)、メンターとして安田修吾准教授(兵庫県立大学情報科学研究科)、今村俊之チームリーダー(理化学研究所計算科学研究センター)、寺尾剛史研究員(理化学研究所計算科学研究センター)が参加しました。

詳細
開催日 2021年7月18日(日) - 30日(金)
開催都市 オンライン
場所

オンライン

共催

XSEDE(米国)、PRACE(欧州)、SciNetHPCConsortium(カナダ)

今回初のオンライン開講となり、通常は開催地で進行されるプログラムについて、時差を考慮し、参加者の在住地域(PDT+EDT/CEST+JPT)に応じて分割する等工夫がなされました。実施委員会は、一日の講義内容を3時間にコンパクト収めて、ユーラシアゾーンと北アメリカゾーンで完全に2重化する形で、タイムゾーンの違いに対応しました。日本は4:00PM-7:00PM, ヨーロッパは9:00AM-12:00AMとなっており、日欧の参加者は通常業務と並行しながら参加できました。翌日には講義をビデオ配信したので、複数講義が受講できるなどの想定外のメリットが学生には評価されました。ただ、北アメリカゾーンも東海岸-西海岸の時差を考慮した時間設定がなされたため、北アメリカゾーンの学生との交流ができない点が唯一残念でありました。
ハンズオンセッションでは標準化された並列プログラミング規格であるMPIやOpenMPを用いた並列計算、アクセラレータを利用するOpenACC、そしてPythonプログラミング等が行われました。参加者は熱心にプログラミングを行い並列化・高速化に取り組みました。
また、Electronic Poster Sessionでは、各参加者が自身の研究内容について発表しました。参加者同士で白熱した議論が交わされ、セッション時間が終了しても議論が続いている参加者も多数ありました。また、共通のテーマにおいて計算速度を競うParallel Programming Challengeでは、日本からの参加者の Yen-Chen Chen(東京大学)さんが、複数のGPUを利用しOpenACCとMPIを組み合わせたプログラムでGold Winnerに輝きました。

写真:日本からの参加者(2021)
日本からの参加者

本スクールの特徴の1つとしてメンター制度があります。これは数人の参加者に対して研究者(メンター)がひとり割り当てられ、研究生活や今後のキャリアに関して相談できるという制度です。スクール期間中にはメンタリングセッションの時間が設けられますが、今年度はGather Townを用いたオンラインでの実施になり、メンターが、スクールの技術的な内容から今後の研究についての話まで、参加者の様々な質問に対して相談支援をおこないました。

事後のアンケートでは、直接の交流が出来ずに残念だった点もあるとしながらも、『オンラインだったことで、通常業務をとめることなく気軽にマイペースに参加できた点はとても助かった。日本時間の16時からという時間帯だったことで、仕事の打ち合わせなどの調整もつけやすかった。』『Gather.town上での開催だったが、メンター制度があったことで、メンターだけでなく他の参加者とも話しやすくなったと思う。/もっと交流の時間が欲しかった。』『研究室の後輩に勧めたい』といった意見や、『分野が少し違うにもかかわらず、前考えていなかった知識が多数聞けて視野が広げられたと感じている』などの声が寄せられました。

Parallel Programming Challenge受賞者の言葉

並列プログラミングチャレンジ (Parallel Programming Challenge)のGold Winner
Chen,Yen-Chen (The University of Tokyo)
Comments on winning the IHPCSS2021 Challenge


The programming challenge is an exercise in IHPCSS for attendees to work at. Attendees are asked to parallelize a code with OpenMP (CPU) or OpenACC (GPU). This year, due to the new schedule and online attendance, we had a full week to work on the assigned task. I was fortunate to end up submitting the fastest code in OpenACC parallelization this year. I was not very familiar with OpenACC programming, so the programming challenge ended up being a perfect exercise for me. I learned a lot from the courses in IHPCSS and the practice through the programming challenge. I am really grateful for this wonderful opportunity to attend IHPCSS, and I urge future attendees to join the programming challenge actively.

(2021年9月28日)