よく聞かれる質問で、「なぜ最近こんなにも基礎科学で大発見が続いているのか」というのがある。確かに、最近の大発見はヒッグス粒子、重力波、系外惑星、ニュートリノ振動、中性子星連星の合体、ダークエネルギーなど、 華々しい。
私はその理由として「三つのものがうまく合うフェーズになったからです」と答えている。それは、(1)難しい実験を可能にする技術、(2)精密な予言をする理論、そして(3)膨大なデータを解析できる計算力である。このうち後の二つは、計算機の進歩に依るところが多い。
一般相対性理論や量子場の理論など、最先端で使われる理論は扱いが難しく、精密な予言をするのには大規模なシミュレーションに頼らないといけないことが多い。そしてDVDを地球一周並べるような量のデータから、稀な大発見を取り出すには、とてつもない計算力が必要である。
今後の大発見のためには、さらなる計算機が必要になる。ポスト「京」に期待したい。
(2017年12月 寄稿)