ソフトウェア紹介GENESIS

タンパク質、膜、核酸、糖鎖、それらの複合体など、生体内分子系のための分子動力学ソフトウェア

ソフトウェアについて

GENESIS (GENeralized-Ensemble SImulation System)はタンパク質、核酸、脂質、糖鎖、またはそれらの複合体など生体内高分子を対象にした分子動力学計算を行うためのソフトウェアです。オープンソースソフトウェアとして公開されています。

概要

タンパク質などの生体内高分子は、生命活動の源となる機能の多くを担っています。この仕組みを知ることは、生命科学における重要な研究課題の一つです。この機能発現には、構造揺らぎや大規模構造変化を使う場合があります。しかし、生体高分子は非常に小さいため、実験手法だけではこの「動き」を詳細に捉えることは困難です。そこで、近年ではコンピュータシミュレーションによる分子の「動き」の計算が広く用いられています。

GENESISは分子の動きを捉える分子動力学(MD)法を行うソフトウェアで、以下の特徴を持っています。

様々なアーキテクチャーに対応した高速・並列手法

スーパーコンピュータ「京」などの膨大な数の計算(CPU)コアを持つマシンを効果的に活用するための並列化・高速化のためのアルゴリズムが使われています。スーパーコンピュータだけでなく、GPGPUマシンやPCやワークステーションなど様々なアーキテクチャーでも高速な計算が可能となっています。これによって今まで実現できなかった巨大な生体分子系の計算が可能になりました。

レプリカを用いたサンプリング手法

計算のターゲットであるシステムのコピーを複数生成し、それらを同時にシミュレーションすることで、広い構造空間をサンプリングする「レプリカ交換MD法」(Sugita & Okamoto, 1999)など、構造サンプリングの効率が高い手法が導入されています。これらの計算により、単体のMD計算では観測が困難なタンパク質の複雑な大規模構造変化の解析が可能となっています。
現在も私たちは新しい計算手法を開発し、GENESISに導入をし続けています。
GENESISはGPLv2ライセンスでソースコードが公開されています。
GENESISのホームページ(英語)には、可能な計算方法、ソフトウェアの導入方法や、目的別にチュートリアルなど、さらに詳細な情報があります。

応用事例