大規模かつ複雑な形状を有する流れ場(自動車空力、ガスタービン等)を解析するための汎用熱流体解析ソフトウェア
FrontFlow/red-HPCとは
FrontFlow/red-HPCは、文部科学省次世代IT基盤構築のための研究開発「革新的シミュレーションソフトウエアの研究開発」プロジェクトにより開発された「RSS21フリーソフトウエア」の一部であるFrontFlow/red Ver.3.0をもとに,「HPCI戦略プログラム分野4次世代ものづくり」等で北海道大学および理化学研究所計算科学研究センター(RIKEN R-CCS)において改良開発された汎用熱流体解析ソフトウェアです。このライブラリは次世代のスーパーコンピュータから汎用計算機に至るまで広く用いられる事を念頭において開発されており、 工学・ものづくりを専門とする科学者と産業界の研究開発者に広く使われています。
FrontFlow/red-HPCは、複雑な形状を効率よく表現できる非構造格子を用いて熱・流れの方程式を解くソフトウェアで、次世代のスーパーコンピュータから小型PCクラスターに至るまで、様々なスケールの計算に用いられる事を念頭に開発を行っています。スーパーコンピュータ「京」や富士通FX10等のスーパーコンピュータに加え、インテル機のような汎用計算機でも計算効率がでることを目指して設計されており、理化学研究所のみならず各大学で利用している科学者、商用版ソフトウェアの開発者が共同して開発を行っています。
FrontFlow/red-HPCでは、従来より工学問題で利用されてきたRANS(Reynolds Averaged Navier-Stokes)による定常問題だけではなく、時々刻々と変化する非定常問題を高精度に予測することができるLES(Large Eddy Simulation)による数理モデルが利用可能です。この数理モデルを並列計算機で効率よく実行することができるため、大規模で複雑な物理現象を扱う問題、例えば自動車の空力解析、ガスタービンの燃焼解析、都市環境の風ながれ解析などで多く利用されています。また、設計業務や基礎研究で試したい新しい解析モデルや新手法のアイデアなどを容易に追加することができるため、産業界のエンジニアだけではなく各大学の研究者にとっても有益な基盤となるソフトウェアです。また、Ver.3.0を元にした商用版でも新手法の機能追加・開発が積極的になされており、高度な技術サービスを利用することも可能です。一例として、理化学研究所と神戸大学の研究チームでは、車体の運動とドライバーの反応といった、これまでのソフトでは取り扱えなかったモデルを組み込んだ、実車相当の自動車空力解析に成功しています。
京でのウィークスケーリング測定結果 (並列化効率96.5%、16384コア)
学術雑誌論文(研究) Research Papers for Journals
FrontFlow/red-HPCの利用をご希望の方は以下へお問い合わせください。
理化学研究所計算科学研究センター複雑現象統一的解法研究チーム
チームリーダー 坪倉 誠
Tel: 078-940-5798