一般の方に加えて、「富岳」の将来の利用者(企業・産業界関係者、青少年等)、「富岳」に興味を持つ潜在的利用者から「富岳」の利用に関心を持つ研究者・技術者等、マスメディア、国・地方自治体関係者等の理解を得るため、R-CCSとRISTは連携して広報活動を行っている。2021年度に行った広報活動の概要は、以下のとおりである。
R-CCSは、「富岳」を利用した研究成果について、論文等の学術発表と並行して一般向けに情報発信を強化している。その一環として、マスメディアの活用を念頭に記者を通じての情報発信を目的に、必要に応じてプレスリリースを行っている。
2021年度のプレスリリースの発信は26件。また、研究成果の発表などに関連する主な受賞は17件だった。
新聞・雑誌・テレビ等への掲載数は946件であった(表1)。
新聞・雑誌 | ネット | TV・ラジオ | |
---|---|---|---|
4月 | 43 | 6 | 20 |
5月 | 24 | 9 | 7 |
6月 | 92 | 35 | 61 |
7月 | 72 | 37 | 26 |
8月 | 24 | 8 | 1 |
9月 | 17 | 18 | 0 |
10月 | 13 | 8 | 1 |
11月 | 75 | 38 | 30 |
12月 | 49 | 8 | 6 |
1月 | 13 | 7 | 6 |
2月 | 75 | 16 | 50 |
3月 | 21 | 27 | 3 |
計 | 518 | 217 | 211 |
RISTにおいても、「富岳」を利用した研究成果について、論文等の学術発表と並行して一般向けに情報発信を強化している。
2021年度にRISTが行ったプレスリリースは表2のとおりである。
R-CCSでは、ウェブサイト・SNSを用いて一般から研究者・技術者向けの情報発信を行っている。
一般から研究者・技術者を対象に広く情報を発信する公式ウェブサイトとして、「富岳」を活用した研究成果、イベントの告知・報告、メディア掲載情報等を掲載。2021年度は、「富岳」Society 5.0推進拠点の新設(4月)、スパコンランキング(6月・11月)、ゴードン・ベル賞COVID-19研究特別賞受賞(11月)、真鍋淑郎氏ノーベル賞受賞関連情報(12月)といった情報を主として発信した。サイト全体のアクセス数は年間102,519件(うち英語は約10.76%)であった。
公式ウェブサイトの更新情報のほか、公式ウェブサイトには掲載されない情報なども写真とともに発信。フォロワーはFacebook(日本語) 約2,300 人、Facebook(英語) 約690人、Twitter 約3,000人、Instagram 約500人である。
YouTubeは「計算科学eラーニングアーカイブチャンネル」として、各種講習会やスクールの講義等を撮影し、公開している。チャンネル登録者は約3,190人。
また、RISTと共同で「Supercomputer Fugaku」チャンネルを運用し、「富岳」関連動画を公開。チャンネル登録者は約130人。
facebook(ja) facebook(en) twitter instagram youtube R-CCS/RIST共同運営:Supercomputer Fugaku Channel
RISTでは、HPCIポータルサイト(図1)、HPCI広報サイト(図2)での情報発信を行っている。
HPCIポータルサイトでは利用者選定及び利用者支援の情報となっており、HPCI広報サイトでは「富岳」に興味を持つ潜在的利用者から一般国民にむけた情報となっている。その中でもHPCIマガジン「富岳百景」はvol.3~7を発行し、「富岳」の利用に関心を持つ研究者、技術者に情報発信した。(図3)
HPCIポータルサイトは2012年4月19日より運営し、課題公募の広告・受付・選定結果の発表などについて、情報発信する場として活用している。2021年度は、2020年度(2019年4月~2020年3月)利用分の一般枠課題の利用報告書が公開された。利用報告書は利用報告書データベース検索をはじめとし、分野ごと、年度ごとに検索できるようになっている(図4)。
また、2020年6月22日から2021年3月31日まで、 RIST神戸センターの アカウントを登録し、Twitterを開設し、HPCIポータルサイトで公開している利用案内、公募に関する情報、HPCI研究成果、イベントや講習会情報等を現在の利用者ならびに潜在的ユーザーに向けて広く情報提供を行った。
ポータルサイト全体のアクセス数は年間287,067件であった。
「富岳」に興味を持つ潜在的利用者から一般国民に向けたより効果的な情報発信を行うために、2020年10月31日よりHPCI広報サイト「富岳百景」を立ち上げた。
HPCI広報サイト全体のアクセス数は2021年4月1日から2022年3月31日までで52,353件であった。
HPCIマガジン「富岳百景」のアクセス数として、Vol.3:1,105件、Vol.4:1,732件、Vol.5:1,105件、Vol.6:898件、Vol.7:509件であった(Vol.6、7は、2月公開につき集計期間が短い)。
R-CCSでは、パンフレット等の印刷物のほか、ウェブコンテンツを制作している。また、一般企業から「富岳」をイメージした商品が発売され、R-CCSは監修を行った。2021 年度に制作、更新した制作物は下記のとおりである。
「研究成果ピックアップ」は、一般を対象として、「富岳」やR-CCSによる研究成果を分かりやすく紹介するウェブコンテンツであり、公式ウェブサイトに不定期で掲載される。2021年度は以下の6本が公開された。
[2021年4月13日更新] スーパーコンピュータとデータ同化による天気予報の高精度化・高速化への挑戦
[2021年4月22日更新] 新型コロナウイルスのタンパク質のフラグメント分子軌道計算 ~「富岳」による新型コロナウイルス対策その3
[2021年7月14日更新] 「富岳」を使い新型コロナウイルスの侵入のメカニズムの解明に貢献 ~「富岳」による新型コロナウイルス対策その4
[2021年9月1日更新] 新型コロナウイルスの感染拡大を抑制する条件をシミュレーションにより推定 ~「富岳」による新型コロナウイルス対策その5
[2021年10月1日更新] 「富岳」を使ったシミュレーションとAIの融合による次世代IT創薬への取り組み
[2021年10月7日更新] AIによる医薬設計プロセスの効率化と次世代創薬AI事業への取り組み
2021年度はウェブ版のみ更新を行った。新しく着任したチームリーダー・ユニットリーダーの似顔絵を新規作成した。
3Dモデル制作サービス「MatterPort」を利用し、ユーザーは画面上をクリックすることで好きな場所に移動でき、360°見渡せる他、マーカーのある場所では解説等を見ることができる。計算機棟(3F 計算機室、2F 空調機械室、地下 免震ピット)に加え、2021年度には「富岳」の稼働を支える熱源機械棟(屋上、発電設備上部、地下)を新たに撮影してウェブサイト上にて公開した。
神戸ふう月堂から「富岳」をイメージしたパッケージのプティーゴーフルが発売された。R-CCSは無償で商品化許諾契約を結び、またパッケージの監修をした。商品は神戸市内の神戸ふう月堂店舗や新神戸駅・神戸空港等の売店で販売され、発売期間は2021年4月から10月頃まで、生産数・販売数は計2,140個であった。
RISTでは、パンフレット、ニューズレター等を制作している。2021年度に制作、更新した制作物は下記のとおりである。
新規利用企業の応募拡大のため、初めてHPCIを利用した企業へのインタビュー記事を掲載する1枚紙のリーフレット、HPCIポータルサイトのWeb版を公開している。2021年7月に「はじめてのHPCI No.7」のリーフレット、WEB版を公開し(図10)、2022年3月に「はじめてのHPCI No.8」はWEB版のみ公開した(図11)。主に産業利用の課題参加者からピックアップし、はじめての利用にあたっての経験を取材してまとめることで、利用前の障壁の低さをアピールし、新規応募増につなげるものである。
「富岳」を中核とするHPCIシステムの新規応募者を今以上に増やすため、潜在的な利用者に向けてHPCIシステムの計算資源を紹介する冊子「HPCI計算資源ハンドブック」を制作した(図12)。
R-CCSでは、「富岳」の活用状況等を広く一般にわかりやすく広報することを目的として、映像コンテンツ(動画)の制作を行った。2021年度に制作した映像コンテンツは下記のとおりである。
「富岳」でどんなことが実現可能なのか、企業の活用例、利用可能なソフトウェアやサポートサービスを再現ドラマで紹介。
R-CCS及びRISTともに専門的な情報から一般にわかりやすい情報まで、イベントを通じた直接対話形式の広報活動を実施していたが、新型コロナウイルス感染症の影響でイベントの多くがオンラインまたは現地開催とのハイブリッド開催となった。
R-CCSでは、研究者、「富岳」利用者に向けた国際会議展示をISC 2021(ドイツ・バーチャル)、SC21(アメリカ合衆国/セントルイス+オンライン)において行うなど、海外及び国内のシンポジウム・展示会への参加を行い、ブース展示や特別講演などを設けて広く専門家向けに情報発信を行った。
一般向けには、「富岳」による成果が期待されている様々な分野の中から、トップランナーとして活躍するビジネスパーソンと研究者を招いた「富岳」BEGINS ~活躍の場を無数に広げて~、共用開始1周年を記念した「富岳」FORWARD ~共に創る未来~を開催した。
また、年に1回実施している神戸医療産業都市一般公開はオンライン開催となり、理研神戸地区・大阪地区(R-CCS+BDR)は参加団体のひとつとしてコンテンツの提供を行った。
毎年、理研横浜キャンパスと横浜市立大学鶴見キャンパスが合同で開催している理化学研究所・横浜市立大学 一般公開 on the Web「未来想像ふぇすてぃばる」 では、2021年4月に発足したHPC/AI駆動型医薬プラットフォーム部門から、横浜キャンパスに拠点を置く2つのユニットの「富岳」を通じた創薬の研究開発を紹介した。
夏休みには、小中高生向けに理研主導のオまンラインイベントを実施すべく、新たにオンラインイベント「とびこめ!科学の夏~いきもん&スパコンの最先端を生配信」を実施した。当日の特設サイトの総アクセス数は約3,500件、配信の視聴者数は約12,000人(YouTube、ニコニコ動画の合算)であった。
分類 | 開催年月日 | 種別 | 名称 | |
---|---|---|---|---|
研究者・利用者向け(国外) | 2021年6月24日~7月2日 | 国際会議 | ISC (International Supercomputing Conference)2021 Digital | バーチャル(ドイツ) |
参加者:2,051名 参加団体:84 社 | ||||
2021年11月14日~19日 | 国際会議 | SC(Supercomputing Conference)21 | ハイブリッド(アメリカ合衆国) | |
参加者:約6,550名 オンサイト 約3,200名 | ||||
2022年2月22日 | シンポジウム | 理研欧州シンポジウム2022 | オンライン | |
2022年3月1日~3日 | 国際会議 | SCA(SUPERCOMPUTINGASIA)22 | ハイブリッド(シンガポール) | |
現地参加者:514名 バーチャル参加者:946名 | ||||
研究者・利用者向け(国内) | 2021年 4月8日~7月29日 | 配信講義 | 計算科学技術特論A | オンライン |
2021年7月15日 | セミナー | HPCwire Japanセミナーシリーズ 使い易さと スーパーコンピュータ「富岳」 | オンライン | |
2021年10月19日~22日 | 展示会 | CEATEC 2021 ONLINE | オンライン | |
登録:約41,000名 ブース来訪:2,786名 | ||||
2022年2月7日~8日 | シンポジウム | 第4回R-CCS国際シンポジウム | オンライン | |
参加者:220名 | ||||
一般向け | 2021年7月22日 | イベント | とびこめ! 科学の夏 ~いきもん&スパコンの最先端を生配信~ | オンライン |
TPアクセス:3,745 YouTube再生:471名 ニコ生再生:11,537名 | ||||
2021年8月23日~27日 | イベント | 夏の電脳甲子園「SuperCon2021」本選大会 | オンライン | |
2021年9月6日~10日 | セミナー | KOBE HPC サマースクール(初級) - スーパーコンピュータで並列計算の基礎を学ぼう! - | 兵庫県神戸市 | |
参加者:36名 | ||||
2021年9月13日~15日 | セミナー | International HPC Summer School 2021 - Toward Society 5.0 - | オンライン | |
受講生:33名 | ||||
2021年9月17日 | イベント | 「富岳」BEGINS ~活躍の場を無数に広げて~ | オンライン | |
登録者数:856名 | ||||
2021年10月9日 | イベント | 2021年度 理研横浜キャンパス・横浜市立大学一般公開「未来想像ふぇすてぃばる」 | オンライン | |
TPアクセス:1,602回 YouTube再生:2,962回 | ||||
2021年10月30日~31日 | イベント | 2021年度 神戸医療産業都市 一般公開 | オンライン | |
2022年3月7日~9日 | セミナー | KOBE HPC スプリングスクール(中級)2022 -並列計算をさらに勉強したい人に向けて- | オンライン | |
参加者:20 名 | ||||
2022年3月10日 | イベント | 「富岳」共用開始1周年記念イベント:「富岳」FORWARD ~共に創る未来~ | オンライン | |
登録者:314名 | ||||
学校向け・出前授業 | 2021年5月27日 | 出前授業 | 青森県立弘前南高等学校 科学講演会 | オンライン |
参加者:713名 | ||||
2021年6月18日 | 出前授業 | 青森県立弘前高等学校 進路講話 | オンライン | |
参加者:約750名 | ||||
2021年7月29日 | 出前授業 | 兵庫県立兵庫高等学校 講義 | オンライン | |
参加者:33名 | ||||
2021年11月29日 | 出前授業 | 神戸市立平野中学校 ミニ講義 | 1年生5クラス | |
2021年12月1日 | 出前授業 | 安城市立桜井中学校 キャリアスタートウィーク職場対談 | オンライン | |
2年生 |
RISTでは、研究者・利用者向けに、R-CCSと連携してISC2021、SC21、SCAsia2022等の国際会議に出展し海外向けに情報発信を行い、国内では「スーパーコンピュータ「富岳」成果創出加速プログラムシンポジウム(研究交流会、公開シンポジウム)」、第8回「富岳」を中核とするHPCI システム利用研究課題成果報告会、材料系分野や CAE 分野に特化したワークショップ(3回)をオンライン開催し、産業利用事例や利用技術に関する情報提供を行うとともに、利用者間の情報交流の機会とした。
「富岳」の効率的な利用を促すため、チューニング技術の普及を目的とした A64FX 向けチューニング技術検討会(3回)をR-CCS と連携してオンライン開催した。また、「第7回大型実験施設とスーパーコンピュータとの連携利用シンポジウム」を公益財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI)及び一般財団法人総合科学研究機構(CROSS)とともにオンライン開催した。さらに、新たに分野ごとの研究者の情報共有・交流の場としてオンラインサロン「スパコンコロキウム」を企画・開催(4回)し、広く情報提供、情報発信を行った。
産業界の利用促進を目的に、R-CCS とともに CEATEC 2021 ONLINEヘの出展、第21回国際ナノテクノロジー総合展へのオンライン展示及び現地での出展を行った。
一般向けには、中学生・高校生・高専生を対象としたスパコン「富岳」体験塾2021を開催し、年に1回実施している神戸医療産業都市一般公開において近隣諸団体とともに参加しRISTは計算機歴史博物館のオンライン出展を行った。
R-CCSでは、「富岳」及び計算機科学・計算科学への理解増進のため、主に研究機関、企業、官公庁、学校など、見学を希望する団体の受入れを行っている。基本的に広報の見学担当者による対応だが、要望に応じて、運用技術部門及び研究部門の研究者・技術者による解説や施設内ツアーを行っている。
また、政界関係者、国・地方自治体関係者、企業や研究機関の幹部などによる視察も数多く行われており、研究支援部総務課を事務局として、理化学研究所役員及びR-CCS幹部により、理解増進のため概要説明や意見交換を含めた対応を行っている。
2021年度は、新型コロナウイルス感染症対策のため、一部例外を除き原則として見学・視察とも受入れを停止とした。また、展示エリアについても開放を中止した。なお、現地見学再開までの試行的運用として教育機関・遠方からの申し込みを中心に、ウェブ会議システムを利用したオンライン見学会を開始した。2021年度の見学、視察受入れ実績は、表5のとおりであり、合計487名に対応した。
【主な団体】
官 公 庁: 省庁関連、神戸市関連
教育機関: 中学・高等学校関連
【主な視察】
2021年4月 自民党文科部会・科技イノベ調査会(オンライン)
2021年11月 末松文部科学大臣、フィンランド大使
2021年12月 山際内閣府特命担当大臣、ドイツ駐日大使・総領事、アメリカ大使館経済公使、オランダ総領事
2022年 3月 衆議院 科学技術・イノベーション推進特別委員会(オンライン)