6 「富岳」の利用拡大等に向けた取組

6-5 広報活動(R-CCS)

R-CCSは、一般市民に加えて、「富岳」の将来の利用者(企業関係者、青少年等)、マスメディア、政治家、国・地方自治体関係者等の理解を得るため広報活動を行っている。2020年度に行った広報活動は、以下の通りである。

6-5-1 マスメディアを通じた情報発信

R-CCSは、「富岳」を利用した研究成果について、論文等の学術発表と並行して一般向けに情報発信を強化している。その一環として、マスメディアの活用を念頭に記者を通じての情報発信を目的に、必要に応じてプレスリリースをおこなっている。

2020年度のプレスリリースの発信は19件であった。また、プレスリリースに関連することの多い受賞は17件だった。

新聞・雑誌・テレビ等への掲載数は2,269件であった(表1)。

参考 受賞実績
表1 メディア掲載件数
掲載(新聞・雑誌)掲載(ネット)放送(TV・ラジオ)
4月31241
5月16103
6月291129174
7月1655033
8月1121972
9月67713
10月1621986
11月1663892
12月741815
1月53627
2月49228
3月1303651
1,316378575

6-5-2 ウェブサイト・制作物

1. ウェブサイト・SNSの管理・運営

R-CCSでは、ウェブサイト・SNSを用いて一般から研究者・技術者向けの情報発信を行っている。

2020年度は、「富岳」の新型コロナ対策への試行的利用(4月~)、筐体搬入完了(5月)、スパコンランキング4冠(6月・11月)、共用開始(3月)といった情報を主として発信した。サイト全体のアクセス数は年間535,820件(うち英語は約8.6%)であった。

(1)公式ウェブサイト

一般から研究者・技術者を対象に広く情報を発信する公式ウェブサイトとして、「富岳」の開発状況や研究成果、イベントの告知・報告、メディア掲載情報等を掲載。2020年度は「富岳」の共用開始に伴い、「富岳」の情報を充実させること、またこれまで以上にユーザビリティ・アクセシビリティの高いサイトとすることを目指し、3月にサイトの全面リニューアルを行った。また、研究成果の紹介をより充実させるべく、2000字程度で成果のポイントを伝える「研究成果ピックアップ」のコーナーも開始した。

(2)公式SNS

公式ウェブサイトの更新情報のほか、公式ウェブサイトには掲載されない情報なども写真とともに発信。共用開始記念イベント HPCIフォーラムでは、「富岳」への応援メッセージを、SNSを通じて募集した。フォロワーはFacebook(日本語) 約2,300 人、Facebook(英語) 約650 人、Twitter 約2800人、Instagram 約420人である。

YouTubeは「計算科学eラーニングアーカイブチャンネル」として、各種講習会やスクールの講義等を撮影し、公開している。チャンネル登録者は約2,700人

参考 R-CCS公式SNSアカウント
facebook twitter instagram youtube
2. 制作物

R-CCSでは、パンフレット等の印刷物のほか、ウェブコンテンツを制作している。2020 年度に制作、更新した制作物は下記のとおりである。

(1)「研究成果ピックアップ」

「研究成果ピックアップ」は、一般を対象として、「富岳」やR-CCSによる研究成果を分かりやすく紹介するウェブコンテンツであり、公式ウェブサイトに不定期で掲載される。2020年度は以下の3本が公開された。

[2020年11月11日更新] 「富岳」が性能ランキングで世界初の4冠達成!それぞれのランキングで求められる性能とは?

[2020年11月20日更新] 飛沫やエアロゾルの飛散の様子を可視化し有効な感染対策を提案 ~「富岳」による新型コロナウイルス対策その1

[2021年1月14日更新] 新型コロナウイルスの治療薬候補の探索と同定に貢献 ~「富岳」による新型コロナウイルス対策その2

(2)「R-CCSまるわかりガイド」

従来冊子で提供してきたが、ウェブ版を新規に作成した。イラスト中心のコンテンツであることは冊子版を踏襲し、イラスト内のアイコンをクリックすることで内容が表示される仕組み。冊子版(PDF)および展示エリア版も「富岳」のパネルデザインが確定したことを受け、改訂を行った。

(3)「ハロー!スパコン 富岳版」

若年層向けコンテンツとして見学・イベント等で配布を行ってきたが、「京」の運用が終了し、内容が古くなってきたことから、「富岳版」として全面リニューアルを行った。2020年度はコロナ禍で見学・イベントの機会が見通せないことから、ウェブコンテンツのみ開発した。キャラクターのイラストや図版を多く配置し、また小学校高学年以上の漢字にはルビを振ることで、小学生の調べ学習等にも活用できるコンテンツとした。

(4)「「富岳」バーチャルツイン」

3Dモデル制作サービス「Matterport」を利用し、計算機棟(3F 計算機室、2F 空調機械室、地下 免震ピット)を撮影してウェブサイト上にて公開した。ユーザは画面上をクリックすることで好きな場所に移動でき、360°見渡せるほか、マーカーのある場所では解説等を見ることができる。

3. 映像コンテンツ

「富岳」の開発状況等を広く一般にわかりやすく広報することを目的として、映像コンテンツ(動画)の制作を行った。2020年度に制作した映像コンテンツは下記のとおりである。

(1)シリーズ動画「FUGAKU NEWS」

「富岳」の設置状況等を知らせる動画シリーズ「FUGAKU NEWS」を製作し、2020年度にはVol.4~Vol.7の4本を作成・公開した。

(2)【360°】スーパーコンピュータ「富岳」のある計算機室を見てみよう

「富岳」の計算機室内を360°カメラで撮影し、解説なしのバージョン、キャラクター「ふがくん」による解説が入ったバージョン(日・英)の計3パターンを作成・公開した。

(3)-富岳小噺- スーパーコンピュータ「富岳」の開発から始動まで

「富岳」の開発と利用開始までのプロセスを追った動画。落語家が出演するフルバージョンと、ナレーターのみのショートバージョンを作成・公開した。

6-5-3 イベント

R-CCSでは、専門的な情報から一般にわかりやすい情報まで、イベントを通じた直接対話形式の広報活動を実施していたが、新型コロナウイルス感染症の影響でオンサイトでのイベントの多くが中止もしくはオンラインでの開催となった。

研究者、「富岳」利用者に向けた国際会議展示をISC 2020(ドイツ)、SC20(アメリカ合衆国)において行うなど、海外及び国内のシンポジウム・展示会への参加を行い、ブース展示や特別講演などを設けて広く専門家向けに情報発信を行った。

一般向けには「スーパーコンピュータ『富岳を知る集い』」を金沢で開催した。そのほか、学校向けの出前授業を実施した。一般向けには「スーパーコンピュータ『富岳を知る集い』」を金沢で開催した。そのほか、学校向けの出前授業を実施した。

また、年に1回実施している神戸医療産業都市一般公開には神戸地区・大阪地区(R-CCS+BDR)合同で近隣諸団体とともに出展し、理化学研究所の特設サイトは総アクセス数約5,000件であった。

年度前半に多くのイベントが中止となったため、理化学研究所の他センターと合同で、主に中高生に理化学研究所の研究を紹介する「オンライン特別授業」を新たに2回実施した。

表2 R-CCSが主催、共催、協賛、後援、出展、または参加した主なイベント一覧
分類 開催年月日 種別 名称
研究者・利用者向け(国外) 2020年6月 22日~25日 国際会議 ISC2020 Digital(International Supercomputing Conference) オンライン(ドイツ)
2020年7月12日~17日 セミナー International HPC Summer School 2020 中止
2020年10月20~21日 ワークショップ NRC – RIKEN Supercomputer Workshop オンライン(カナダ)
2020年11月9日~19日 国際会議 SC20(Supercomputing Conference) バーチャル(米国)
2021年3月2日~4日 国際会議 SCA21 バーチャル(シンガポール)
研究者・利用者向け(国内) 2020年10月20日~23日 展示会 CEATEC 2020 ONLINE オンライン
登録者:96,625名
2021年3月9日 シンポジウム HPCIフォーラム~スーパーコンピュータ「富岳」への期待~ オンライン
アクセス数:680名
2021年2月15日~16日 シンポジウム 第3回R-CCS国際シンポジウム オンライン
参加者数:207名
一般向け 2020年 4月18日 イベント 理化学研究所和光地区 一般公開 中止
2020年9月7日~10日 セミナー KOBE HPC サマースクール(初級)- スーパーコンピュータで並列計算の基礎を学ぼう! - オンライン
参加者数:31名
2020年9月13日~22日 イベント 高校生・高専生「富岳」チャレンジ ~SuperCon本選出場者によるスパコン甲子園!~ オンライン
参加者数:43名
2020年9月28日~30日 セミナー RIKEN International HPC Summer School 2020:Society 5.0に向けて オンライン
参加者数:37名
2020年10月31日 イベント 理化学研究所神戸・大阪地区一般公開(神戸医療産業都市一般公開) オンライン
アクセス数:約5000件
2021年3月8日~10日 セミナー KOBE HPC スプリングスクール(中級) 兵庫県神戸市
参加者数:20名
学校向け・出前授業 2020年8月17日 特別授業 中高生のための夏の特別授業「新型コロナウイルスに挑む生命科学・計算科学」 オンライン
参加者数:約200名
2021年1月15日 特別授業 第2回中高生のためのオンライン特別授業「最近話題のあの技術この技術」 オンライン
参加者数:約200名
参考 一般公開
図1 CEATEC2020
図1 CEATEC2020
図2 HPCIフォーラム~スーパーコンピュータ「富岳」への期待~
図2 HPCIフォーラム~スーパーコンピュータ「富岳」への期待~
図3 神戸医療産業都市一般公開(理研神戸・大阪)
図3 神戸医療産業都市一般公開(理研神戸・大阪)
図4 第2回 中高生のためのオンライン特別授業
図4 第2回 中高生のためのオンライン特別授業

6-5-4 見学・視察対応

R-CCSでは、「富岳」及び計算機科学・計算科学への理解増進のため、主に研究機関、企業、官公庁、学校など、見学を希望する団体の受け入れを行っている。基本的に広報の見学担当者による対応だが、要望に応じて、運用技術部門及び研究部門の研究者・技術者による解説や施設内ツアーを行っている。

また、政界関係者、国・地方自治体関係者、企業や研究機関の幹部などによる視察も数多く行われており、研究支援部総務課を事務局として、理化学研究所役員及びR-CCS幹部により、理解増進のため概要説明や意見交換を含めた対応を行っている。

2020年度は、新型コロナウイルス感染症対策のため、一部例外を除き原則として見学・視察とも受け入れを停止とした。また、展示エリアについても開放を中止した。2020年度の見学、視察受け入れ実績は、表3のとおりであり、合計241名に対応した。

【主な団体】
官 公 庁: 省庁関連、神戸市関連

【主な視察】
2020年7月 西村経済再生担当大臣
2020年8月 萩生田文部科学大臣
2020年10月 総務省黒田事務次官
2020年11月 アメリカ大使館首席公使

表3 見学・視察対応件数一覧