ハロー!スパコン 富岳版

第2回 スパコンのお仕事

キャラクターアイコン:コンちゃん

スパコンは、計算するのがものすごく速い。ということは、
あっという間にたくさんの計算ができるということですね。

キャラクターアイコン:タイチ

じゃあ、ぼくの代わりに宿題の計算ドリルをやってもらおうかな。
きっと、ぼくだけじゃなく、
学校中の子たちの宿題をやってもらえるよね?

キャラクターアイコン:えくささん

おやおや。スパコンは、
タイチくんの宿題のためにあるわけじゃないよ。
みんなの毎日の生活に役立っているんだ。

キャラクターアイコン:ももせさん

そうそう。天気予報よほうだって、
スパコンで計算した結果けっかを使っているのよ。

キャラクターアイコン:コンちゃん

ほかにも、自動車の設計せっけいとか、病気の診断しんだんとか、
いろいろなところでスパコンが使われているみたいです。

キャラクターアイコン:えくささん

クイズ:次の3つのうち、スパコンが
使われているのはどれでしょう?
1.天気予報よほう
2.病気の診断しんだん
3.自動車の自動運転

答え:
1.使われています。
2.これから使われるようになります。
3.自動車の自動運転ができるようにするために、スパコンを使って研究が行われています。

解説かいせつ
1.天気予報よほう

 天気の変化へんかは、大気の状態じょうたい(気温、気圧きあつ湿度しつど、風速、風向などのあたい)の変化へんかでとらえることができます。そして、大気の状態じょうたいは、大気の流れやねつの出入りなどの法則ほうそくしたがって変化へんかします。そこで、法則ほうそくを表す式に今日の大気の状態じょうたいのデータを入れて計算すると、明日の大気の状態じょうたい予測よそくすることができます。天気予報てんきよほうは、このような予測よそくをもとにして行われています。

 実際じっさいには、大気をたくさんのブロックに分け(図1)、そのブロックの中で気温、気圧きあつなどのあたいがどう変化へんかするかを計算します。正確せいかく予測よそくするには、ブロックを小さく分け、時間を少しずつ進めながら計算する必要ひつようがあるため、計算りょう非常ひじょうに多くなります。そこで、計算にはスパコンが使われています。

全球の大気を格子で区切ったイメージ図

図1 天気予報よほうのための計算に使われる
大気のブロック分け
気象庁きしょうちょうホームページ「数値予報とは」より)

 天気予報よほうのように、自然しぜん界の法則ほうそくもとづいた計算で未来みらい予測よそくすることを「シミュレーション」といいます。スパコンを使ったシミュレーションは、天気予報よほうだけでなく、薬の開発、自動車の設計せっけい、電子材料ざいりょうの開発などに幅広はばひろく使われています。

2.病気の診断しんだん

 はいがんや肺炎はいえん診断しんだんには、「XエックスCTシーティー」という方法ほうほうで、はい輪切わぎりにするように撮影さつえいした画像がぞうが使われます(図2)。

 現在げんざいは、お医者さんがCT画像シーティーがぞうを見て、病気があるかどうかを診断しんだんしています。しかし、病気(がんや炎症えんしょう)のある場所、病気になった場所の見え方は患者さんごとにちがうため、はいがんやはい炎などの病気があるかどうかを画像がぞうから正しく診断しんだんするにはお医者さんの経験けいけん必要ひつようです。

CT検査の様子
肺のCT画像

図2 はいCT検査シーティーけんさと、検査けんさ結果の画像がぞう(イメージ)

 そこで、人工知能ちのうAIエーアイ)に診断しんだんさせようという研究が進んでいます。まず、お医者さんが病気の場所をマークしたたくさんのCT画像シーティーがぞうを集めます。

 次に、これらの画像がぞうAIエーアイに学習させ、病気の見分け方のルールをAIエーアイに見つけさせます。
このAIエーアイに、まだ診断しんだんされていないCT画像がぞうを見せて、病気のある場所を見つけてもらうのです。たくさんの画像がぞうデータからルールを見つけるにも、ルールをもとに病気を見つけるにも、大量たいりょうの計算が必要ひつようなためスパコンが使われます。

 このように、大量たいりょうのデータを扱う「データ科学」とAIエーアイを組み合わせる方法ほうほうは、病気の診断しんだんだけでなく、自動翻訳ほんやくや、コンビニの商品の仕入れなど、いろいろなところに使われ始めています。このやり方では、「人間には見えないルール」をスパコンがさがし出してくれる可能性かのうせいがあり、より正確せいかく判断はんだんをしてくれるようになるかもしれません。

3.自動車の自動運転

 人が自動車を運転するときは、目や耳でまわりのようすを知り、少し先のことを予測よそくして次に何をすべきかを判断はんだんし、ハンドルを切るなどの操作そうさをします。自動運転では、車につけたカメラなどでまわりのようすを知り、AIエーアイ予測よそく判断はんだんを行い、ハンドルやブレーキなどを自動で動かします。

自動運転のイメージ図。車につけたカメラなどが周りの様子をとらえ(目の役割)、AIが予測と判断を行い(頭脳の役割)、ハンドルやブレーキなどを操作する。

図3 自動運転のイメージ
政府広報せいふこうほうオンラインより)

 自動車はあちこちの道を走り、となりを走る車はいつもちがいます。ですから、AIエーアイまわりのようすをもとに予測よそく判断はんだんを行うには、様々な「まわりのようす」のデータをAIエーアイに学習させ、「こういうときはこうなりそうだからこうする」というルールを見つけさせなければなりません。そのために、スパコンが使われます。自動運転の自動車には、小さなスパコンがまれることになるでしょう。

 さらに、自動運転の学習では、シミュレーションも使われます。様々な「まわりのようす」を、スパコンを使ったシミュレーションでつくりだし、それをAIエーアイに学習させるのです。
シミュレーションなら、実験じっけんよりもずっと簡単かんたんに大りょうのデータをることができるだけでなく、たとえば「歩行者にぶつかる」といった、実際じっけんにはデータを取れないような「まわりのようす」も学習させることができます。

 このように、「データ科学とAIエーアイ」を、シミュレーションと組み合わせることも、スパコンの重要じゅうよう役割やくわりとなってきています。

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