1 「富岳」の共用と組織

1-2 理化学研究所 
計算科学研究センター

R-CCSは、コンピュータ・シミュレーションにより、科学的に未来を見通す「予測の科学」の確立を目指し2010年7月に計算科学研究機構として発足、2018年4月からは理化学研究所の研究センターの一つとして位置づけられた。R-CCSは「富岳」の運用を行い、我が国の計算科学の発展のための中核的拠点として、利用者視点に立った使いやすい計算環境を提供するとともに、計算科学及び計算機科学の先導的研究開発を推進している。さらに、国内外の計算科学分野や計算機科学分野に関連する研究機関や大学等とも積極的に連携し、研究開発や人材育成を進め、高性能計算科学 (High Performance Computing/HPC) の国際的な研究教育拠点の構築を目指している。

1-2-1 R-CCSの組織

R-CCSは、我が国全体の計算科学技術の発展に中心的な役割を担っており、図2に示した「研究チーム」及び「運用技術部門」で構成されているほか、「富岳」(ポスト「京」)の開発を実施するための組織「フラッグシップ2020プロジェクト」を設置(共用開始に伴うプロジェクト終了により2021年3月に廃止)している。

研究チームでは、計算科学の共通基盤的研究、分野融合研究を進めるとともに、将来重要となる領域の開拓を行い、「富岳」を核として我が国の計算科学を先導している。さらに関係機関等とも密な連携を取り、優れた成果の創出を目指している。

運用技術部門では、「富岳」を中心とするR-CCSの計算機システムの運用や、空調、電源、冷却施設等の維持管理・運転、システム高度化等を実施している。2020年度は、「富岳」に係る設備運転等の技術のうち、クラウド的利用並びに省エネルギー化をはじめとする先端的運用技術に関する研究開発等を担う「先端運用技術ユニット」を新たに設置した。

また、R-CCSの研究開発活動を推進し、支援する部署として、理化学研究所内に計算科学研究推進室及びフラッグシップ2020プロジェクト企画調整室(2021年3月廃止)、神戸事業所内に研究支援部が設置されている。

図1 R-CCSの組織 (2020年4月1日現在)
図1 R-CCSの組織 (2020年4月1日現在)

1-2-2 計算科学研究センターの予算

計算科学研究センターの予算として2020年度は、「富岳」(ポスト京)の運用に向けた必要な経費として総額108.9億円がR-CCSに措置された。

この予算額には、建屋や計算機システムの保守費、光熱水費、通信ネットワーク等の経費として98.0億円が計上されている。また、「富岳」の開発予算として384.3億円(補正予算を含む)が措置された。