「京」、「富岳」の運営にあたり、RISTは利用促進業務の実施の透明性を確保しつつ、公正な手続きの下で「京」、「富岳」を活用した成果創出を図るため、2012年4月に理化学研究所との間で連携協力協定を締結し、定期的な情報交換・協議等を行っている。
2023年度は、R-CCSと毎月定例の連絡会を開催したほか、組織横断且つ両機関が連携して取り組むべき施策や、その課題の解決等をトップダウンで意見交換する場として設置した「富岳」連携協力会議の第4回目を2024年3月に開催し、古典・量子ハイブリッド計算機システム開発及び「AI for Science」への取り組み、「富岳」の産業利用促進等について意見交換を行った。
また、計算科学振興財団(FOCUS)との間では、「京」、「富岳」を中核としたHPCIの産業利用を促進するため、連携協力協定の下、情報交換等を行いつつ、それぞれが有する知見等を活用した連携協力を行っている。2023年度は、RIST、FOCUS、文部科学省の三者による情報交換のための定期的な打ち合わせを行い、新たな産業利用促進施策の検討等を行った。
共用法に定める登録施設利用促進機関(登録機関)であるRIST、公益財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI)、一般財団法人総合科学研究機構(CROSS)の3登録機関は、「京」、「富岳」と大型実験施設(SPring-8、SACLA、J-PARC)で、それぞれの特性を相互に補うことで、より一層の成果創出を期待し、連携利用を進めている。
そのため、この3登録機関では、2014年度以降、数値シミュレーション手法と実験的手法の特性を相互に補い合う形での研究成果の創出が期待される連携利用課題の募集等、及び「大型実験施設とスーパーコンピュータとの連携利用シンポジウム」を開催している。第9回目となる連携利用シンポジウムを2023年9月に東京(秋葉原)及びオンラインにてハイブリッド開催し、先端研究施設で進みつつある自動測定に機械学習と数値シミュレーションを組み合わせることで、物質研究・開発のさらなる高効率化を目指して、各専門家によるマテリアルデータサイエンスの先端的な研究成果の紹介のほか、ポスターセッションを通じた意見や情報交換を行った。
連携利用シンポジウム以外にも、材料開発や材料評価において、空間・時間の高分解能化に伴い急増する計測データの処理時間の短縮、データの有効な整理・解析に向け、機械学習を用いた解析手法、ベイズ推定に関する取り組み、また大量の計測データ取得・解析を自律的に行う試みを紹介する研究会をJASRIと共同で開催した。