社会の課題を解決する力
「富岳」の挑戦は続く

スーパーコンピュータ「富岳」は、2014年からの開発期間を経て2021年3月9日に完成、共用が開始された。

「富岳」の共用は、ハードやソフトの整備、稼働を支える電気・冷却設備の管理運用を担う理化学研究所計算科学研究センター(R-CCS)と、利用者とのインターフェイスとして利用者選定、利用支援業務を担う一般財団法人高度情報科学技術研究機構(RIST)が協働して行っている。本年報では、2023年度の両機関による「富岳」に関する成果及び活動を網羅する。

R-CCSでは、「富岳」がスパコン性能ランキングにおいて、引き続き総合的に世界最高クラスの実力を示し、Society 5.0社会と広範な「デジタルツイン」の実現、SDGsの達成を目指し、高性能計算科学における世界トップレベルの研究を遂行した。また、クラウドを通じた「富岳」の環境拡張「バーチャル富岳」に続き、量子コンピュータとスーパーコンピュータの連携と融合、科学の世界にイノベーションを起こす「AI for Science」の展開、次世代計算基盤を見据えた組織と研究体制の拡充を行う等、計算科学の進化と探求に向けて、さらなる挑戦の“始まりの一年”となった。

RIST では、特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律に基づく登録施設利用促進機関として、特定高速電子計算機施設の利用促進業務(2020年6月以降は、対象施設が「京」から「富岳」へ移行)を引き続き推進するとともに、文部科学省が主導して構築された革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)について、文部科学省委託事業「HPCIの運営」もあわせて実施し、画期的な研究成果の創出及び科学技術の発展や産業競争力強化、並びにハイパフォーマンス・コンピュータ利用の裾野の拡大に貢献した。

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