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富岳 BEGINS〜活躍の場を無数に広げて〜

開催レポート

共用開始から半年、「富岳」の成果や今後の研究がもたらすこれからの経済、社会のあるべき姿について徹底討論する場として、2021年9月17日、「富岳」BEGINS〜活躍の場を無数に広げてと題したオンラインイベントが開催しました。

「富岳」は、前身の「京」の最大100倍のアプリケーション実効性能を持ち、Society5.0の実現、SDGsの目標達成へ向けた研究基盤として、学術分野・産業分野に提供され、利用者・利用分野の拡大とその成果の創出を目指しています。

今回開催されたイベントでは、「富岳」による成果が期待されている様々な分野の中から「都市インフラ」、「資源循環」、「次世代創薬」などに焦点を当て、各分野のトップランナーとして活躍するビジネスパーソンや研究者による発表や、今後の展望などについて議論を交わしました。

REPORT 01

基調講演

Beyond 5Gとサイバーフィジカルシステムが切り拓く未来の社会
〜安全安心なSociety 5.0の実現をめざして〜

「Society 5.0」で広がる世界の可能性

情報通信研究機構(NICT)理事長 慶應義塾大学 名誉教授の徳田英幸氏による基調講演「Beyond 5Gとサイバーフィジカルシステムが切り拓く未来の社会〜安全安心なSociety 5.0の実現をめざして〜」では、経済的発展と社会的課題の解決を両立させる超スマート社会の実現へ向けたNICTと「富岳」との連携による取り組みの紹介や、2030年頃の実現を目指す「Society 5.0」の未来社会イメージについて紹介しました。
NICTと「富岳」の連携については、民間企業とも協働し、今年7月〜8月の東京オリンピック・パラリンピック時に実証実験を行った「30秒ごとに更新する、30分先までのゲリラ豪雨予報システム」の開発を紹介しました。

REPORT 02

パネルディスカッション01

シミュレーション・ファーストな「まちづくり」
~スマートシティとカーボンニュートラル~

「富岳」で街や公共サービスがもっと便利になる、ビジネスが加速する

本パネルディスカッションでは、次世代のまちづくりに「富岳」がどのように貢献できるのか、その先進事例の紹介やカーボンニュートラルへの可能性について意見を交わしました。

REPORT 03

パネルディスカッション02

HPCが起こす「食の革命」の可能性
~バイオ・農業・資源循環~

「農業のデジタル化による革命」が進行中

本パネルディスカッション「HPCが起こす「食の革命」の可能性~バイオ・農業・資源循環~」では、世界人口の爆発的増加に起因する食糧不足、温暖化・異常気象による災害多発化など、深刻化しつつある食と農林水産をめぐる社会課題に対し、「富岳」がどう向き合っていくべきか、議論を交わしました。

REPORT 04

パネルディスカッション03

「富岳」によって加速する次世代創薬

「創薬にかかる膨大な時間とコスト」を「富岳」とAIは改善できるか

本パネルディスカッション「「富岳」によって加速する次世代創薬」では、近年大きく進展している創薬のデジタル活用について、AIの応用やシミュレーションへの期待も高まる中、「富岳」の活用や期待について議論を交わしました。

REPORT 05

まとめ

「富岳」と「Society 5.0」
~サステイナブルな社会の実現に向けて~

「富岳」と「Society 5.0」~サステイナブルな社会の実現に向けて~

3つのパネルディスカッションでの議論を受け、まとめのセッションではHPCIコンソーシアム理事長・筑波大学計算科学研究センター長 朴泰祐 様、理化学研究所計算科学研究センター(R-CCS) 松岡聡 センター長、株式会社企(くわだて)代表取締役・慶應義塾大学大学院 特任准教授 クロサカタツヤ氏が、「富岳」を背景に議論を交わしました。

ポイントは以下のとおりです。

1.「富岳」の登場によって最適化(全体最適)の追求がいよいよ現実的となった。 それは、スパコンがこれまでのバックエンドの役割から、国民生活で見える存在であるフロントエンドの位置づけのものへと進化したことを意味する。「富岳」はそこにチャレンジできるし、しようとしている。

2.「富岳」は日本でのスマホの年間出荷台数に匹敵する圧倒的な計算パワーを持ちつつ、AIやデータ同化など新たな手法への対応と汎用性を併せ持ったことで、ニーズ側からみたend-to-endのモデルでそれを可能とすることができる。

3.「富岳」だけですべての答えが出るわけではないが、各学問分野だけでは扱えなくなった世の中の複雑事象を、「富岳」での活動を通じて分野を超えて皆で考えるようになることが大事で、この「つながり」をプラットフォームとして提供できることが「富岳」の価値と言える。これが従来の常識を破る研究DXとなる。

4.まさに本日のパネルでも事例が紹介されたが、これまでの研究で獲得してきたアセットを土台に、そのような「つながり」を能動的に生み出していくことが将来への鍵となる。