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相関するトポロジカル相のための効率的変分量子回路構造

論文発表

Posted On 2023.08.11

現在利用可能なノイズのある量子コンピュータを用いてギャップのあるトポロジカル量子相を計算するために、変分量子固有値ソルバー(VQE)アルゴリズムにおいて用いる効率的な変分量子回路構造を提案しました。効率的な回路ansatzは、初期化層と変分層の2つの層を含みます(図の左パネルの下部左側の点線のブロックをご参照ください)。初期化層では、目標のトポロジカル相に適合する相互エンタングルメント構造を持つ固定深度の回路状態が構築されます。この回路状態は、後にハミルトニアンによって決まる局所相関の詳細を捉えるために、パラメータ化された変分層で調整されます。このansatzに基づくVQE計算スキームについては、上記図の左パネルをご覧ください。

この方法に基づいて、厳密に解けない交互のスピン1/2ハイゼンベルグ鎖における対称性が保護されたトポロジカルHaldane相をVQE計算によって計算するための回路アンサッツを設計しました。単一の深さの変分層を持つ浅い回路状態を用いて、系のサイズとともにVQEエネルギーの偏差(上記図の右パネルをご覧ください)が増加しないことを示し、このVQE計算のスケーラビリティを示唆します。さらに、長距離ストリング秩序、開放境界を持つ系において異なる4つの局在エッジモードパターンに関連付けられる4つのほぼ縮退した基底状態、そしてエンタングルメントスペクトルの2重縮退などのHaldane相の主要な特性が、最適化された回路状態において数値シミュレーションと実際の量子コンピュータ上の両方で観測されることを実証しました。この研究の詳細は、以下の論文に記載されています。

Journal reference: Rong-Yang Sun, Tomonori Shirakawa, and Seiji Yunoki, “Efficient variational quantum circuit structure for correlated topological phases” Phys. Rev. B 108, 075127.
DOI: https://doi.org/10.1103/PhysRevB.108.075127

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