理化学研究所(理研) 計算科学研究センター(R-CCS)では、2022年度から文部科学省(文科省)の「次世代計算基盤に係る調査研究プロジェクト」で次期フラッグシップとして想定されるシステムを提案することを目的に、技術動向の調査や、要素技術の研究・評価を行っている。
理研で想定している「富岳」の次期フラッグシップシステムは、広範な計算手法・シミュレーション技法や大規模データ・AIを駆使しつつ、それらが連携しながら全体のワークフローを実行することで、サイエンス成果の達成が可能な、汎用性の高い計算基盤の実現を目指しており、そのためのハードウェア・ソフトウェアの検討を進めている。特に、システム設計の基本理念としては、電力制約の下でデータ移動を高度化・効率化 “FLOPS to Byte”指向のシステム構築を、アーキテクチャ開発からアルゴリズム設計、アプリケーション技術に至るまで実践している。
また、2023年12月にはワークショップを開催し、文科省が進めている調査研究に採択されている各調査研究チームから検討状況の報告を行い、次世代の高性能計算基盤について、調査研究に関わる関係者だけでなく、大学や研究機関、企業など、関心を持つさまざまな参加者の意見を聴く場を設けている。
次世代計算基盤の検討に当たっては、「ALL Japan+メジャー国内外ベンダー」による体制を構築し、以下の項目を中心に検討を進めている。
「富岳」の次期フラッグシップシステムのアーキテクチャの構成としては、「三次元積層メモリ技術を駆使した相対メモリバンド幅の向上」や「シリコンフォトニクスによるリモートメモリアクセスへの高バンド幅の確保」、「強スケーリング実行の処理効率確保」、「混合精度演算の積極的な利用とアーキ・ソフトウェア化のサポート」を踏まえつつ、検討している。