巻頭言-introduction-
センター長のアップ
国立研究開発法人 理化学研究所 計算科学研究センター長 松岡 聡

理化学研究所計算科学研究センター(RIKEN Center for Computational Science, R-CCS)は、世界最高レベルのスーパーコンピュータである「富岳」を単に擁するだけでなく、高性能な計算科学を推進する世界トップレベルの中核拠点の研究センターとして、「計算の科学」「計算による科学」を探求し、それら両面からの高度な相乗効果による卓越した「計算のための科学」を確立し、Society 5.0において中心的な役割を果たします。

「富岳」は、数十万から一千万個にも上るCPUコアや、それにデータを供給する莫大なバンド幅のメモリ・ネットワーク・I/Oを活用した、とてつもない規模の計算を可能にします。また、様々なユーザーが高性能を維持しながら使いこなす高度な並列プログラミングやソフトウェア、さらに近年では、ビッグデータやAIなど新たな計算パラダイムの加速や大規模化も強く求められ、「計算の科学」では、それらを実現する技術のベースとなる高性能計算の本質に関する研究を推進します。

また、地球温暖化の科学的予測、地震や津波、集中豪雨や台風の予測による被害軽減、遺伝子治療の基礎となるヒトゲノムの解析やタンパク質の解析によるドラッグデザイン、新しいデバイスや材料デザイン、自動車の衝突シミュレーションやジェットエンジンの設計等、多くの応用分野にスーパーコンピュータを適用する「計算による科学」では、本センターの「「富岳」Society 5.0推進拠点」を通じて、研究成果が種々のSDGs (Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標))の達成に必要なDX(デジタルトランスフォーメーション)の担い手となる事を目指します。