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「富岳」FORWARD ~共に創る未来~

開催レポート

スーパーコンピューター「富岳」を運用する理化学研究所 計算科学研究センター(R-CCS)は、2022年3月10日、「富岳」の共用開始1周年を記念したイベント「富岳」FORWARD 〜共に創る未来〜をオンラインにて開催しました。

「巨大なITインフラを使うことで見えてくる世界」をテーマに各界のトップランナーが語るパネルディスカッションや、報道番組「news zero」へのレギュラー出演などアクティビストとしても活動するクリエイティブディレクターの辻愛沙子氏など、いわゆる“Z世代”をゲストに迎え、「富岳」への期待や活用アイデアについて語り合うスペシャルセッションを行いました。

REPORT 01

パネルディスカッション

トップランナーと語る「富岳」FORWARD

「MaaS」「脳神経科学」「気象」まったく異なった分野のエキスパートが集結

ここでは、MaaS社会実装の実現へ尽力する株式会社MaaS Tech Japan代表取締役CEOの日高洋祐氏、脳神経科学分野において、実際に「富岳」を利用し研究する電気通信大学 大学院情報理工学研究科 准教授の山崎匡氏、同じく「富岳」を活用し、天気予報の革命を目指す理化学研究所 データ同化研究チームリーダーの三好建正氏と、まったく異なる分野からゲストを迎え、科学コミュニケーターの本田隆行氏がファシリテーターを務めました。

REPORT 02

スペシャル・セッション

Z世代と語る「富岳」FORWARD

Z世代が投げかける「社会変革のためのリクエスト」

スペシャルセッションでは、「Z世代と語る「富岳」FORWARD」と題し、「Z世代」を代表し、クリエイティブディレクターとして幅広い分野で活躍する株式会社arca CEO / Creative Directorの辻愛沙子氏、自動運転システムの開発に取り組む国立情報学研究所 助教でTURING株式会社CTOを務める青木俊介氏が登場しました。

この「Z世代」の二人に対し、「富岳」に関わる第一人者として、九州大学 情報基盤研究開発センター長で教授の小野謙二氏、理化学研究所 計算科学研究センター長の松岡聡氏が応え、ファシリテーターを株式会社企(くわだて)代表取締役 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任准教授のクロサカタツヤ氏が務めました。

REPORT 03

まとめ・展望

最後に、九州大学の小野氏、理化学研究所計算科学研究センターの松岡氏と、ファシリテーターを務めた本田氏、クロサカ氏による「まとめ・展望」セッションが行われました。
複雑な現象や社会課題をサイエンスでいかに解決するかが「富岳」の重要な役割であることをあらためて確認するとともに、視聴者に対し「富岳」へのアプローチを促してイベントを締めくくりました。

Q&A

たくさんの質問・コメントをありがとうございました。回答はこちらです。
(同じ趣旨の質問についてはまとめて回答させていただきます。)

Q なぜLinuxを採用しているのでしょうか?
A 「富岳」利用のすそ野を広げるため、国際標準で多くの人が使用するLinuxを採用しました。
Q 「富岳」で出した結果の検証はどのように行うのでしょうか?
A ゲリラ豪雨予測の場合、フェーズドアレイ気象レーダによる実測データと比較して検証します。また可能な場合はアメダスの降雨量観測データと比較することもあります。【三好】
Q 人の脳は「富岳」に比べ何がどのように優れているのでしょうか?
A 「自分でものを考えられる」というのが圧倒的に優れていると思います。(将来「考えるコンピュータ」が作られるまでは。)【山崎】
Q 戦争や災害など、非常時の退避ルートの提案もMaaSで実現できるのでしょうか?
A 災害のレベルによりますが、東日本大震災の時には自動車のカーナビ等から蓄積されるデータより通行可能な道路を把握し情報提供されたことがあります。道路情報センターなどの取り組みで災害情報が配信されたり、河川のセンサーやハザードマップから避難指示が出されるケースはあります。
今後は、MaaSの文脈で避難経路までユーザーのいる場所やコンテキストにあわせてナビゲーションされることが理想的ですので、弊社でも考えていければと思います。【日高】
Q 小脳エミュレーターが実現すれば、熟達者やアスリートのような、反射的に高度な動作を実現できるでしょうか?
A シミュレータ上では可能でしょう。実際にヒトの身体を動作させるためには、「富岳」とヒトを繋ぐためのブレイン・マシン・インタフェースが必要ですね。しかもリアルタイムのやつ。それをどう実現するかが課題だと思います。【山崎】
Q フンガ・トンガ噴火による空振に伴う潮位変化、といった予想していなかったような気象課題をシミュレーションが「予見」することは可能でしょうか?
A 噴火が起こった後の予測については、できることがあるかも知れません。噴火自体の予測は気象の範囲を超えるため、恐れ入りますが知識を持ち合わせずお答えできません。【三好】
Q 「富岳」などのスパコンを、3DCGアニメーションの制作などに利用することはできるのでしょうか?
A いくつかの側面があると思いますが、技術的な観点からは、オープンソースのレンダリングソフトを利用するというのでしたら可能かもしれません。まず、ソフトがコンパイルして動作するかどうかを確認する必要があります。この場合、3DCGプロダクションなどで利用するインタラクティブな方法とは異なり、レンダリングをバッチ処理してイメージ作成することになると思います。【小野】