6 「富岳」の利用拡大等に向けた取組

6-5 国内機関との連携(RIST)

「京」、「富岳」の運営にあたり、RISTは利用促進業務の実施においてその透明性を確保しつつ、公正な手続きの下で「京」、「富岳」を活用した成果創出を図るため、2012年4月に理化学研究所との間で連携協力協定を締結し、定期的な情報交換・協議等を行っている。

2022年度は、R-CCSと毎月定例の連絡会を開催したほか、組織横断且つ両機関が連携して取り組むべき施策や、その課題の解決等をトップダウンで意見交換する場として設置した「富岳」連携協力会議の第3回目を2023年3月に開催し、研究開発プラットフォームとしての「富岳」の海外連携や、産業利用促進に向けた意見交換を行った。加えて、2022年7月には、ヘルプデスク業務の円滑な実施・充実、また、高度化研究における研究成果等の活用や発信について具体的な協力内容を定めるため、R-CCSと覚書を締結した。

また、計算科学振興財団(FOCUS)との間では、「京」、「富岳」を中核としたHPCIの産業利用を促進するため、連携協力協定の下、情報交換等を行いつつ、それぞれが有する知見等を活用した連携協力を行っている。2022年度は、RIST、FOCUS、文部科学省の三者による情報交換のための定期的な打合せを行い、新たな産業利用促進施策の検討等を行った。

共用法に定める登録施設利用促進機関(登録機関)であるRIST、公益財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI)、一般財団法人総合科学研究機構(CROSS)の3登録機関は、「京」、「富岳」と大型実験施設(SPring-8、SACLA、J-PARC)で、それぞれの特性を相互に補うことで、より一層の成果創出を期待し、連携利用を進めている。

そのため、この3登録機関では、2014年度以降、数値シミュレーション手法と実験的手法の特性を相互に補い合う形での研究成果の創出が期待される連携利用課題の募集等、及び「大型実験施設とスーパーコンピュータとの連携利用シンポジウム」を開催している。第8回目となる連携利用シンポジウムを2022年9月に東京(秋葉原)にて開催し、SDGsへの貢献が期待される二次電池・燃料電池にフォーカスし、放射光・中性子の量子ビーム実験や理論計算による最前線の研究が紹介されたほか、連携利用による電池研究の課題解決に向けたパネルディスカッションを行った。

連携利用シンポジウム以外にも、放射光計測データの処理や解析の高速化、計算の高速化に向け、データ駆動型の解析手法や、機械学習によるスペクトル計算の研究事例を紹介する研究会をJASRIと共同で開催した。