巻頭言-introduction-
写真:高度情報科学技術研究機構 理事長 田島 保英(たじま やすひで)

2021年3月から本格稼働した超高性能電子計算機「富岳」は、2022年11月の世界のスーパーコンピュータに関するランキングで、「HPCG(High Performance Conjugate Gradient)」、「Graph500」において6期連続の第1位を、「TOP500」で第2位、「HPL-AI」において第3位を獲得し、世界トップを引き続き維持する栄誉を得ました。

学術・産業技術の高度の進展、精緻化、大規模化を支える人類の「外部脳」として計算機科学及び計算科学技術が文明の必須の基盤を形成するに至った現在、「富岳」の有効利用は、これまで人類が挑んだ極微の物質の根源から時間・空間の無限に至る知の探索を始め、生命、生活、産業、社会の構造理解と機能解析、厳密予測、情報処理、そして未出現の人類史の設計にまでも可能性の輪を大きく拡げるものと期待が膨らみます。

一般財団法人 高度情報科学技術研究機構(Research Organization for Information Science and Technology、RIST)は、「富岳」の利用者選定と利用者支援を担う登録施設利用促進機関として、計算科学手法の普及・活用及び情報の高度利用にかかる研究活動の推進と成果創出に貢献してまいります。

「富岳」の利用者募集から課題選定、利用支援に至るプロセスについては、選定委員会や課題審査委員会をはじめとする専門家の方々のご判断を踏まえた利用促進の方法・手続き等の改善、改良に継続的に取り組むとともに、「富岳」の開発・運用主体である理研R-CCS及びHPCIコンソーシアムを通じた計算科学技術関連コミュニティとの緊密な連携・協力を念頭に業務を進めております。

多様な利用者による幅広い「富岳」の活用によって、装置の性能が縦横に発揮されその果実が社会に最大限齎されることを期して、登録施設利用促進機関として「富岳」の円滑かつ効果的な利用の実現を図る所存です。