研究者に聞いてみよう! 第7回

複合系気候科学研究チーム
梶川 義幸 上級研究員
研究者に聞いてみよう!
2017年10月掲載
梶川 義幸 上級研究員
梶川 義幸 上級研究員
複合系気候科学研究チーム
プロフィール
千葉県立薬園台高校卒業後、筑波大学、名古屋大学、ハワイ大学などを流れ流れて理研に。2016年から神戸大学と理研の両機関に勤務。趣味はスポーツ観戦、テニス、一時ダイビング、その昔観劇、そして近年Public Speaking。
武庫川女子大学附属高等学校の皆さんと梶川上級研究員。
私たちが取材しました!
武庫川女子大学附属高等学校の皆さん

気候変動の原因を探る――梶川さんの専門は気象・気候学で、現在は理化学研究所以外にも大学で教鞭を執るなど、多方面で活躍しています。幼稚園に通っている娘さんをお持ちで、子煩悩な一面もあります。小さい頃から好奇心旺盛、高校時代は部活動も文化祭実行委員も楽しみ、興味あることにはとことん集中するタイプだった梶川さん。現在は、スーパーコンピュータ「京」を駆使して、降水をもたらす諸現象のメカニズムや、熱帯域やアジア域を中心とした気候が将来どうなるのかなどの研究をしています。
(武庫川女子大学附属高等学校 2年生有志)

研究で必要なことは何ですか?
一番大切な要素は、「なんでだろう?」「なんでこうなるのだろう?」と思うことです。知的好奇心がなかったら研究者はやっていけないと思います。好奇心がないとただの作業になってしまうし、作業ではつらくなると逃げたくなるかも知れません。他人に興味を持つのも必要です。他人がやっていることに興味を持っているか、最低限のコミュニケーションが取れているかが大事です。研究は、決して、視野をどんどん狭くして何かをやっていくということではありません。あと、英語はできた方がいいですね。
研究以外で楽しいことは何ですか?
いっぱいあります(笑)。家族と遊びに行ってみんなが笑顔になることが一番楽しいです。僕の家では一日一食は家族全員で食べると決めています。家族とおいしいごはんを食べている時も楽しいですね。
尊敬している人はいますか?
いっぱいいます。感謝している人もいっぱいいます。何人かあげると、両親、小学校の1、2、5、6年の担任の先生、高校の物理の先生、大学院の指導教官、ハワイ大学時代の教授です。小学校5、6年の時には毎日日記を書かされましたが、文章を書く力や感じたことをまとめる力がついたし、継続することの大切さを知りました。今でもその先生とは親交があります。あと、当たり前ですが、両親も尊敬し、感謝しています。いろんなことがあっても、下地を作ってくれたのは親ですから。
発表の場で大切なことは何ですか?
相手の目を見ることです。何かを発表するときは絶対そうします。嘘をついている時は目をそらすでしょ? 原稿は見てもいいけど、できる限り伝えたい相手と目を合わせること、あとはとにかく練習です。また、英語で発表する時は、単語一つ一つに感情をのせることも大切です。
リケジョについてどう思いますか?
男子でも女子でも関係なく自分の意思で興味を持った道に進めればいいなと思います。そこにジェンダーを意識する必要はなく、気にしなくていいと思います。研究職は自由が利く分、結果に責任を持って生活をいろんな形にアレンジできる職業です。また、ある程度実力社会なので、やり方次第でやりたいことはできます。だから、好きなことを一所懸命にやればいいと思いますよ。
現在の夢は何ですか?
日本の天候にも大きな影響を与える太平洋の西側、フィリピン周辺でどうやって雲が立って、どういう仕組みで弱くなったり強くなったりするのか、それが周りの季節進行や気候の変化とどんなふうに結びついているのか。それを解明することは生涯をかけてでもやりたいですね。あとは、健康でいることです。いつ何が起こるかわからないから、一日一日を大切に楽しく生きることを意識しています。
インタビューを終えて
今回は、家庭を持っている研究者の方に取材をしたいという私たちの希望で、梶川さんを紹介していただき、 とても貴重な体験となりました。取材を通して、研究する上での心構えや、 研究の楽しさについて学ぶことができました。「wantの精神で何でもやってみる」という言葉を聞いて、私たちも挑戦する勇気を持つことができました。最後になりましたが、 今回の取材に関わってくださったすべての方々に心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
インタビュー風景
この記事は「計算科学の世界」NO.15
に収録されています。
計算科学の世界 VOL.15(PDF:3.44KB)pdf