研究者に聞いてみよう! 第5回

可視化技術研究チーム
小野 謙二 チームリーダー
研究者に聞いてみよう!
2016年10月掲載
小野 謙二 チームリーダー
小野 謙二 チームリーダー
可視化技術研究チーム
プロフィール
おの・けんじ。大分県立日田高校卒業。流体力学が専門なだけに、熊本大学卒業後、日産自動車→東京大学→理研→・・・→九州大学と流れ着く。趣味はトライアスロン(20代)、今はガーデニング(食べられるものだけ)と料理。
神戸女学院高等学部の皆さんと小野チームリーダー。
私たちが取材しました!
神戸女学院高等学部の皆さん

目に見える形へ――小野さんは、シミュレーションで出た結果を可視化する、つまり、結果を目に見える形で表現することが専門です。小さい頃からコンピュータに興味があり、 中学生の時にコンピュータを買ってもらったことで、ますますのめり込んだそうです。大学を卒業後、一般企業に就職した後、ワシントン大学の客員研究員や、数々の大学の客員教授を歴任してきました。 現在は九州大学の情報基盤研究開発センターの教授であり、理研の研究チームリーダーでもあります。そのようにさまざまな仕事を経験し、現在も2つの仕事を兼務し、 両立している小野さんにお話を伺いました。
(神戸女学院高等学部 化学部有志)

そもそも「シミュレーション結果を可視化する」とは?
シミュレーションをすることで、現実には再現できないことや起こりえないことが評価できます。例えば、計測が難しい管の中の温度変化をシミュレーションして可視化することで、どのようにして管が傷むのか理解を深めることができます。 また、現象を可視化して理解することで、工業製品の設計の考慮不足のために起こる意図しない事故を防ぐこともできます。
高校時代に一番頑張ったことは何ですか?
自転車で足をつかずに近所の山を登り切ることです(笑)。他の人が呆れるようなことでも、自分がやりたいと思ったことならやり切るというこだわりを強く持っていたように思います。 3回目の挑戦でようやく成功しました。2時間30分もかかりましたね。
今私たちがやっておくべきことは何ですか?
自分の興味のあることを見つけて掘り下げていくことです。興味のあることって学校では教えてくれないんですよね。だからこそ、自分で学ぼうとすることで考える力が育つのではないでしょうか。 ちなみに私は数学と理科が苦手でしたが、コンピュータは好きでした。それが今の仕事に結びついていると思います。
2つの仕事を兼務していますが、両立するための時間のやりくりのコツは?
やらなければならないことの優先順位をつけるようにしています。できないことは他の人にまかせることも大切だと思います。
ご自身の短所は何ですか? また、それをどう克服していますか?
めんどくさがりなところです。優先順位が高いものを後回しにしてしまうことがあります。なので、目標を達成したら、自分にご褒美を与えたり、 「これをすることでこんなにいいことがある」とプラス思考をしたりすることによって、モチベーションを上げています。
ワシントン大学に客員研究員として行った時、どう感じましたか?
海外の方は議論好きだと感じました。そうした方たちと一緒に過ごすことで、納得いくまでとことん話し合って自分の意見を主張する力をつけることができました。
研究をする上で大切だと思うことは何ですか?
2つあると考えています。1つ目はあきらめないこと。あきらめなければいつかなんとかなる可能性があるからです。2つ目は、多方面から物事を考えること。そうすれば視野が広がり、新しい考えを得ることができるようになります。
インタビューを終えて
私たちは、仕事を両立している研究者の方から、時間を上手くやりくりするコツを伺いたいと思い、取材をさせていただきました。取材を通して、日常生活で活かせることから、 将来の研究において活かせることまで、さまざまなことを学ぶことができました。小野さんは高校生の私たちにも分かるように自身の研究について説明してくださり、改めて科学の世界に魅了されました。 そして、言葉の端々に織り込まれたユーモアから伝わってくる人柄にも引きつけられました。 また「身近なところにチャンスは転がっているものだ」という考えには胸を打たれました。 小野さんの核心を突く言葉は、人生の分岐点に立たされている私たちにとって大きな励みとなりました。最後になりましたが、今回の取材に関わってくださった全ての方々に感謝申し上げます。 本当にありがとうございました。
インタビュー風景
この記事は「計算科学の世界」NO.13
に収録されています。
計算科学の世界 VOL.13(PDF:5.97MB)pdf