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Science 研究成果

研究成果 ピックアップ

研究成果事例をピックアップして紹介します。
※「京」、ポスト「京」関連の研究成果については、理研以外の研究機関による成果も含まれます。
※成果の最新情報については、新着情報もあわせてご覧ください。

2015年04月21日更新

「京」による大規模な気泡生成シミュレーションに成功
~シャンパンの気泡同士に働く力の解明により、さまざまな工業分野への応用に期待!~

シャンパンや炭酸飲料の栓を空けると、たくさんの泡が出ますが、その後、大きい泡がより大きく、小さい泡がより小さくなる「オストワルド成長」という現象が起きます。研究チームはこの現象を「京」を用いて7億個の粒子を使って再現し、気泡が発生する最初の過程のミクロな様子を世界で初めて明らかにしました。この結果、時間に伴って気泡の数が変化する様子が、理論による予想と一致することが分かりました。この結果を用いるとシミュレーションによって、気泡の発生や成長、気泡同士に働く力を分子レベルから明らかにすることが可能になり、発電所のタービン(※)や船舶のスクリューの設計、金属合金の生産など、さまざまな工業分野への応用に貢献すると期待されます。

※発電タービンの多くでは、水を蒸気に変えるのにボイラーを使用しています。ボイラーの中では、水から蒸気に変わるときに沸騰(温度を上げることにより起きる発泡現象)が起きていて、ボイラーやタービンの動作効率に大きな影響を与えます。気泡発生の仕組みを調べることで、発電効率の高い発電所の設計につなげることができると期待されます。

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CMSIニュース

AIPニュース(英語)

2015年04月21日更新

「京」を用いて巨大分子の第一原理シミュレーションを実現
~創薬や次世代デバイスの開発に期待~

物質は多くの原子からなります。その振る舞いは原子同士に働く力や電子によって決まり、「量子力学」によって表すことができます。量子力学に基づく第一原理計算は現象を原子や電子のレベルで明らかにできますが、複雑で大規模な計算が必要となるため、計算可能な原子数が極めて小さい(通常数百原子程度)という問題がありました。物質・材料研究機構と英国ロンドン大学の研究チームは「京」と東京大学のスパコンFX10(※)を用いて、原子数が3万個以上においても第一原理計算を可能とする新しい計算手法を開発、高精度のシミュレーションに成功しました。今後は数万~数百万原子から構成される生体分子やナノサイズの構造を持つ物質の原子・電子の振る舞いなどを明らかにすることを目指します。本研究は創薬や次世代デバイスの開発に役立つことが期待されます。

※FX10…「京」をベースにして開発された商用版のスーパーコンピュータ。

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物質・材料研究機構プレスリリース

2015年04月21日更新

スーパーコンピュータ「京」がGraph500で1位を獲得

スーパーコンピュータ「京」がGraph500で1位を獲得しました。この指標は、グラフ解析という解析の性能を競う、新たなスパコンのランキングです。グラフ解析は、サイバーセキュリティー、医療情報、ソーシャルネットワーク等、様々な場面で利用されています。Graph500では、グラフ(※)の幅優先探索(1秒間にグラフのたどった枝の数(Traversed Edges Per Second; TEPS))という計算を行う速度で、スパコンの性能が評価されます。今回、「京」の約2/3(に相当する) 65,536個の計算ノードを用いて、1兆個の“節”と16兆個の“枝”からなる大規模なグラフを、わずか0.98秒で探索しました。その結果、17,977 GTEPS(ギガテップス)というスコアで、「京」は1位を獲得しました。本成果は、「京」が汎用性が高く、ビッグデータ解析を含む幅広い分野のアプリケーションに対応できることを実証するものです。

※グラフ…“節”と呼ばれる2つの点と、その間を繋ぐ線(“枝”と呼ばれる)からなる集合で構成される。データ間の関連性を示す様々な分野で使われている

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理化学研究所トピックス

東京工業大学プレスリリース

2015年04月20日更新

地球全体の大気について、世界最大規模である1万個の「アンサンブルデータ同化」に成功
〜1万キロ離れた場所の観測値を使って、大気の状態を精度よく推定できる可能性も〜

天気予報にはコンピュータシミュレーションが使われています。シミュレーション結果を少しでも現実に近づけるために、実際の観測データを取り入れる手法を「データ同化」と呼びます。その中でも、少しばらつきをもたせた複数のシミュレーション結果を利用する手法が「アンサンブルデータ同化」です。今回「京」の上で新しいソフトウェア(*1)を使用することで、従来100個程だったアンサンブルデータを世界最大規模の10,240個に増やし、地球全体の大気のデータ同化を3週間分行うことに成功しました。計算量は従来の100万倍(*2)となりました。今回の結果から、例えば日本から1万キロ離れた地点の観測値を有効に使い、日本の天気予報の誤差を減らせる可能性などもあり、今後の天気予報シミュレーションの改善への貢献が期待されます。

*1 アンサンブルデータ同化計算ソフトLETKFと、高性能固有値計算ソフトEigenExa(アイゲンエクサ)を利用
*2 固有値計算部分。従来100個のアンサンブルを100倍の1万個に増やすことで、その3乗の100万倍の計算量となる

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理化学研究所プレスリリース

2014年11月20日更新

「京」が新たなスパコン性能指標 「HPCG」で世界トップレベルの高性能を達成
~産業利用など実際のアプリケーションにおける高い性能を証明~

世界のスパコン関係者が集まる国際会議SC14で、スパコンの性能を評価する新しい性能指標(ベンチマーク)により、「京」が世界トップレベルの高いスコアを達成しました。この新しい「HPCG」ベンチマークは、いろいろなアプリケーションで良く使われる計算手法(共役勾配法)の処理速度を評価するものです。今回の結果は「京」が産業利用など実際のアプリケーションにおいても高い性能を発揮できることを意味します。「HPCG」は、世界ランキングTOP500で使用されていた「LINPACK」と並ぶ新しい指標として期待が集まっています。

詳細説明

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参考ページ

HPCG(英語)

SC14(英語)

2014年08月29日更新

高解像度大気海洋結合モデルにより台風強度の予測精度が大きく向上することを京コンピュータを用いた大規模実験により実証

台風の予報精度を向上させることは防災の観点から非常に重要です。しかし、中心気圧や最大風速で表される台風の強度の予報は、過去20年間であまり改善していません。この問題を解決するには、システムの 高解像度化を進め台風中心付近の詳細な構造と海洋内部の変動を正確に予測することが必要と考えられていましたが、計算機資源の問題もあり、信頼できる精度評価は行われてきませんでした。本研究では、高解像度で大気と海洋の状態を予測するシステムを新たに開発し、京を用いて、281回の予報実験を行いました。その結果、このシステムを用いると従来のシステムに比べて大きく強度予報の誤差が減ることが分かりました。

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海洋研究開発機構ウェブサイト

2014年08月28日更新

熱帯域におけるマッデン・ジュリアン振動の1ヵ月予測が実現可能であることを実証

マッデン・ジュリアン振動(MJO(※))は、熱帯域における主要な大気変動であり、全球に影響を及ぼします。今回「京」を利用して、地球全体で雲の生成・消滅を詳細に計算できる全球雲システム解像モデル「NICAM(ニッカム)」による数値実験を実施し、約1ヵ月先まで有効な予測が可能であることを実証しました。本成果によりNICAMの優れたMJO予測精度が初めて実証されたことから、地球規模の大気変動の様子を早期に把握できるようになり、日本付近の季節予報や台風発生予測の精度向上にも貢献することが見込まれます。未だ解明されていないMJOのメカニズムについても、観測では捉えきれない部分を本シミュレーションデータが補完することにより、その本格解明に向けて大きく寄与することが期待されます。

※マッデン・ジュリアン振動(MJO): 主にインド洋で発生する水平規模が数千㎞にも及ぶ巨大な積乱雲群が赤道に沿って東進する、周期が30~60日の大気変動

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JAMSTECプレスリリース

東京大学海洋大気研究所プレスリリース

東京大学理学系研究科プレスリリース

2014年08月8日更新

濃い液体が秘める新機能を発見、新世代の電解液へ
~スーパーコンピュータ「京」により高濃度電解液の動作原理が解明~

東京大学と京都大学、物質・材料研究機構(NIMS)は、リチウムイオン電池の急速充電、高電圧作動を可能にする電解液を開発し、スーパーコンピュータ「京」を用いて作動メカニズムを解明しました。この新規な電解液は、超高濃度のリチウムイオンを含む“濃い液体”であり、「高濃度=反応が遅く電解液に適さない」という通説を覆すものです。また、既存の電解液にはない「高速反応」と「高い分解耐性」という新機能を有します。今後、この電解液を応用することで、従来の3分の1以下の時間での急速充電や電気自動車等への実用に耐えうる高電圧で作動するリチウムイオン電池の実現が期待されます。

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東京大学プレスリリース

物質・材料研究機構プレスリリース

2014年08月8日更新

「京」を用いてメタンハイドレートが分解する仕組みを解明

世界で初めて、メタンハイドレートが分解してメタンが発生するメカニズムを分子レベルから明らかにしました。メタンハイドレートは水とメタンからできたシャーベット状の塊です。エネルギー資源として注目されていますが、分解の詳しいメカニズムはわかっていません。今回の「京」での解析から、ハイドレートが分解する際に過度にメタンが溶け込んだ水ができ、そこから発生したメタンの気泡がハイドレートの分解をさらに促進することがわかりました。これは、気泡の発生をコントロールすることでメタンハイドレートの分解を制御できる可能性を示しており、効率的にメタンを採取する方法の開発に役立つと期待されます。

詳細説明

解説を読む

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岡山大学プレスリリース

参考ページ

torrent No.7(日本語版)「水素・メタンハイドレートの生成、融解機構と熱力学的安定性」

torrent No.7(日本語版)「メタンハイドレート分解過程の微視的機構」

2013年12月5日更新

「京」の計算速度をさらに加速
~新開発ソフトウェア「EigenExa(アイゲンエクサ)」~

新開発のソフトウエア、「EigenExa(アイゲンエクサ)」が、「京」のシミュレーションで使用するアプリケーションの計算速度を飛躍的に向上させることを実証しました。実際にこのソフトウェアを「京」で使い、世界最大規模である計算(100万×100万の行列での固有値計算)を行った結果、これまで1週間程度かかると考えられてきた計算時間を、わずか1時間に短縮することに成功。今後、半導体のデバイス設計や新材料開発、新薬の探索などを行うための大規模コンピュータシミュレーションに加え、バイオインフォマティクス(※)や社会科学などで用いられるデータの相関関係を解析するスピードアップに期待が寄せられます。この「EigenExa」は一般にも公開されています。

※バイオインフォマティクス・・・生物情報科学ともいい、ゲノムなど生物に関係する膨大なデータをコンピューターで解析する研究分野。

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