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Science 研究成果

研究成果 ピックアップ

研究成果事例をピックアップして紹介します。
※「京」、ポスト「京」関連の研究成果については、理研以外の研究機関による成果も含まれます。
※成果の最新情報については、新着情報もあわせてご覧ください。

2018年05月9日更新

イオン質量による乱流抑制のメカニズムを解明
~核融合プラズマの性能向上に繋がる理論研究が大きく進展~

核融合炉では、円環状のプラズマ(多数の電子やイオンで構成される気体)の熱や粒子を強い磁場によって閉じ込め、1億度以上の高温状態を高い密度で長時間維持する必要があり、その実現を目指して世界各国で研究が進められています。 核融合科学研究所と名古屋大学の共同研究グループは、イオン質量が大きな場合には磁場で閉じ込められたプラズマ中の乱れ(乱流)が抑制され、熱や粒子の損失が低減するという物理メカニズムを、理論研究と「京」などを活用したシミュレーションによって解明しました。この研究成果は、プラズマ物理・核融合研究当初から世界中のプラズマ実験に共通して長らく謎であった、軽水素プラズマに比べて重水素プラズマでは性能が向上する現象「イオン質量効果」の全容解明に向けた革新的な成果であり、今後の理論および実験研究の進展に大きく貢献すると期待されます。

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日刊工業新聞 (2017年4月12日)  「イオン質量の乱流抑制、プラズマで影響大 - 核融合科学研など機構解明 -」

2018年05月9日更新

スパコンが明らかにする電子の状態、原子の配列と材料強度の関係
~材料の強さをマルチスケールで解析し、緻密な材料設計を可能に~

建物や輸送機器などの構造材料の「強さ」には、固さだけでなく、変形のしやすさやしなやかさなどが求められます。 東北大学金属材料研究所などの共同研究グループは、この材料の「強さ」が発現する仕組みを、電子状態(ナノ)、原子配列(ミクロ)、結晶粒(メソ)というマルチスケールで解析・設計する計算手法を開発しました。そして鉄(Fe)にケイ素(Si)を入れた金属材料の「強さ」を、「京」などのスーパーコンピューターを用いて解析しました。その結果、実験ではわからなかった結晶欠陥の周囲の原子の位置や動きなどの可視化に成功し、「強さ」に関連する靭さ、弱さ、脆さを生じる原子配列の変化(素過程)を明らかにしました。また、材料の「強さ」と「磁性」が関与していることも初めて明らかにしました。 今後、スーパーコンピューターを用いて、さまざまな材料に対する緻密で効率的な設計期待されています。

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東北大学プレスリリース

2018年04月25日更新

EGFR変異陽性肺がんに対する新規耐性克服療法を発見
~今後予想されるオシメルチニブ耐性の克服へ~

肺がんは日本におけるがん死亡の1位です。治療の一つに、がん細胞と結合することで増殖メカニズムを抑制する分子標的薬がありますが、初期にどれほど高い効果を示したとしても、およそ1年前後で薬が効かなくなる薬剤耐性が生じ、がんは再び増大・進行してしまいます。
(公財)がん研究会などの研究グループは、C797S遺伝子変異によって薬剤「オシメルチニブ」に耐性となった細胞に対し、新たな薬剤「ブリガチニブ」が有効であることを発見、「京」による構造シミュレーションを行い、変異したタンパク質への結合様式と、その結合に重要な化学構造の推定に成功しました。 これらの成果は、今まで明確でなかったC797S遺伝子変異に対する治療開発に貢献しうる成果であると考えられます。

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がん研究所プレスリリース

2018年04月25日更新

次世代省電力・小型デバイス設計の道を拓く
~計算機シミュレーションにより、電子デバイス中の電子の流れを原子・電子スケールで高精度に解明~

筑波大学計算科学研究センターの小野倫也准教授らは、電子デバイス中の電子の流れを原子・電子のスケールから高速・高精度に予測できる第一原理計算方法を開発しました。その方法を活用し、次世代省エネパワーデバイスとして期待されている、シリコンカーバイド(SiC)デバイスの表面に形成されているゲート絶縁膜(SiO2)との界面での電子の流れる通路に着目したシミュレーションを行いました。その結果、SiCデバイス普及の課題となっている電気抵抗の増大の要因のひとつが界面の酸素欠陥であることを世界で初めて発見しました。この界面を改良すれば、エネルギー損失を100倍向上できることもわかりました。
このように、実験のみでは明らかにすることが困難な電子・原子スケールの現象を「京」を用いた高精度のシミュレーションは、将来の超低消費電力デバイスなどの開発促進に大きく貢献しています。

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筑波大学プレスリリース

2018年04月25日更新

ひまわり8号で観測した高頻度大気追跡風と海面水温の台風や大雨事例へのインパクト実験

ひまわり8号では、高密度・高頻度・高精度な風向・風速や海面水温データなどが得られます。平成27年9月に発生した関東・東北豪雨の大雨の事例について、この風向・風速データを数値シミュレーションの初期値の作成に用いると(データ同化)、大雨の位置や強度が精度よく再現できることが分かりました。
平成28年の台風第10号の事例では、台風の強風が海水を撹拌する効果を考慮したモデルに海面水温観測データを同化することで台風の発達の予測が改善されました。
これらの結果は、いずれもひまわり8号の高密度・高頻度・高精度な観測データを活用した数値シミュレーションによって、台風や大雨に関する防災情報が改善される可能性を示しており、予測精度の向上につながるものと期待されます。今後、より多くの事例にひまわり8号の観測データを適用し、より有効な手法の開発をしていきます。

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気象庁プレスリリース

2018年04月25日更新

骨髄異形成症候群におけるクローン進化の解明
~急性白血病を起こす2ステップの遺伝子異常のパターンを発見~ 

急性骨髄性白血病は代表的な血液がんの一つであり、血液のもとになる造血細胞のゲノムに異常が生ずることによって発症するとされています。また、骨髄異形成症候群は、数年にわたって慢性の造血障害を起こしたのち、急性骨髄性白血病を発症することが知られています。
今回、京都大学などの国際共同研究チームは2,250例の骨髄異形成症候群の患者さんに対して、次世代シーケンサーおよび「京」を用いた大規模な遺伝子解析を行い、慢性の骨髄異形成症候群から急性白血病を起こす遺伝子異常を、これまでになく詳細に明らかにしました。
これらの遺伝子異常は、骨髄異形成症候群の低リスクから高リスク症例への進行、および二次性急性白血病進展を予測するマーカーとしてスクリーニングに用いられることが期待されます。

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京都大学プレスリリース

2016年11月18日更新

シミュレーションソフトウェアの開発コストの大幅削減へ(SC16 最優秀論文賞受賞)
~画期的な技術開発により、並列化や最適化のプログラミング自動化に成功~ 

シミュレーションの高速化は、研究の成果や内容に大きな影響を与える重要な技術です。 現在、計算量やデータ使用量を大幅に削減できる「適合格子細分化法」という手法が有効ですが、大規模なスーパーコンピュータで用いるには、データの移動を効率よく行う最適化が必要なことなど、様々な技術的課題がありました。

今回、共同研究チームが開発した新しいソフトウェア技術は、「適合格子細分化法」での並列化や最適化のプログラミングを自動化することから、大規模スパコン向けシミュレーションソフトの開発コストの大幅削減や、現在プログラミングに手間の掛かるアクセラレータを用いたスパコンへの活用の拡大も期待されます。

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プレスリリース(SC16 最優秀論文賞受賞)

2016年11月18日更新

世界初!高度なプログラミングが不要に?方程式が書ければ「京」が使える!
~「京」を使って開発した新プログラミング言語「Formura」~

スパコンで必要なプログラムは、ときに数十万行に及びます。作成やチューニングには、シミュレーションに加え、コンピュータの深い知識が必要なため、研究者にとって負担の大きな作業でした。そこで、共同研究グループは、方程式がプログラムに変換されるまでの一連の段階に対し数学的な定義を作ることで、方程式から、スパコンに適切な計算を割り振り、協調して動作させるプログラムを自動生成する新プログラミング言語「Formura」を世界で初めて開発しました。

「Formura」を使えば、例えば3万行以上のプログラムを4万通り以上自動生成するときでも、元のプログラムはたった20行程度です。また、その中から最も高速なプログラムを自動選択する機能もあり、今後、シミュレーションによる研究(規則格子を用いる分野)を加速できると大きな期待が寄せられています。

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プレスリリース(SC16 ゴードン・ベル賞ファイナリスト)

2016年11月18日更新

「京」を使った研究が最優秀ポスター賞を受賞 ~次世代地震被害予測システムのコア技術として期待されるシミュレーション手法~

ハイ・パフォーマンス・コンピューティング(高性能計算技術)に関する世界最高峰の国際会議であるSC16で、「京」を使った研究成果のポスターが最優秀ポスター賞を受賞しました。全世界から参加した112件のポスターの中から選ばれ、11月17日(現地時間)、受賞式が行われました。
受賞の対象となった成果は、次世代地震被害予測システムのコア技術として期待されているシミュレーション手法に関する研究成果です。「京」全体(82,944計算ノード)で開発した手法を使うことで、従来の205倍の規模となる地殻変動問題(2兆自由度)が解けるようになりました。これにより地震を引き起こす地殻変動を従来より精緻に分析できるようになると期待されます。

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SC16 受賞式

2016年10月26日更新

想定外を減らし、地震被害に立ち向かう ~都市地震災害の大規模シミュレーション~

都市ではどんな地震によって、どのような被害が起こるのか。これまでの経験則に基づいた被害想定ではなく、科学的に被害を予測するための大規模シミュレーションが行われています。東京大学を中心とした研究グループは、「京」を使って東京の山手線内ほぼ全域にあたる約10キロ四方における地盤および建物の揺れについて、大規模なシミュレーションを行いました。都市の広範囲を対象としたシミュレーションを行うことで、建物への被害予測のほか、これまでは難しかった地盤のひずみ解析を行うことができるようになり、ガス・水道・交通などライフラインネットワークへの被害予測も可能となりました。地震災害の統合的な予測システムの確立を目指し、研究が続けられています。

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