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理化学研究所 計算科学研究センター(R-CCS)は、スーパーコンピュータを中心とした高性能な「計算」という事象自身を「計算の科学」として探求し、それによって得られる莫大な計算パワーを様々な科学分野の問題解決に適用してそれらの発展に寄与する「計算による科学」を推進し、更には両者の高度化に貢献する他の科学分野の産物である「計算のための科学」と連携を果たすべく、次世代の「計算科学」の世界トップレベルかつ我が国の中核拠点の研究センターとして活動することを目標としています。

計算科学は様々な手法を使って、過去から未来へ、またミクロからマクロへ、世の中の事象を計算として計算機の内部で再現し、人類の重要な問題の解決にチャレンジすることを可能にします。例えば、現象を物理の方程式で表し、それを解くことによって現象を再現する「シミュレーション」、膨大な観測データを分析してその傾向を把握し予測に繋げる「データ科学」や、さらにはそれらのデータを学習し、高度な推論によって現象の本質を捉える「人工知能」などが挙げられます。スーパーコンピュータは、これら全てを数千倍から数百万倍まで時間・規模とも加速し、世の中の関心の高い多くの問題の解決に適用され、社会に革新的な進歩をもたらすことが可能で、本センターはそれらの最先端の研究を行うことを使命としています。

同時に、スーパーコンピュータの進化のため研究開発される諸所の革新的技術は、IT分野全体を進化させる最先端かつ急先鋒の技術として広い影響力を伴うことが必須で、特にクラウドからエッジを中心とした世の中のITインフラ全体の進化に広く貢献し、国民生活や経済の向上に役立つ事が期待されます。本センターは、そのようなITの進化を担う世界の中心的センターとして、国内外の諸機関と連携し、研究開発を推進しています。

我々が今回開発したスーパーコンピュータ「富岳」は、まさに我々のこのような研究活動が結実したもので、2020年6月に史上初スパコンランキング4部門で世界一となり、かつ、一年前倒しの部分運用を開始し、新型コロナウイルスの治療薬開発や感染防止に繋がる画期的な研究成果をあげることができました。今後も「富岳」およびそのテクノロジーの高度化や普及に努めるとともに、更なる次世代の「計算(の・による・ための)科学」に向かって研究を推進します。

写真:計算科学研究センター センター長 松岡 聡
計算科学研究センター
センター長 松岡 聡(まつおか さとし)