理化学研究所 計算科学研究センター

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Kcomputer 京について

アプリケーション紹介

アプリケーションとは

スーパーコンピュータで出来ること、それは大量の足し算引き算などの計算です。自然界・社会現象の多くは何らかの規則性をもって変化しています。この規則の多くは、方程式など数式で書き表すことができます。人の手で厳密に解くことが不可能なこれらの大量の方程式をプログラムに書き直して、コンピュータに計算させることで、今まで人間がたどり着けなかった答えを導き出すことができるようになります。

このような、実験ではなく計算で、知りたい現象の解明を目指す学問を計算科学といい、そのプログラムをアプリケーションと呼びます。「京(けい)」の性能を最大限引き出すようなプログラムを書く場合、高い技術と豊富な知識が必要になります。

シミュレーションをするときどんなことが行われているのでしょうか

クリックすると拡大表示します。

「京」でのアプリケーションの高並列化

アプリケーションの高並列化

アプリケーション面から見た、「京」の大きな特徴の一つとして、並列数が82,944ととても大きいことがあげられます。並列数が大きいと、演算のばらつきと通信の増大などが問題になります。演算がばらつく場合、例えば1つのCPUが1秒遅れると、約80,000倍つまり22時間分もの無駄な待ち時間が発生することになります。また通信相手が増えると、通信に必要な時間が急増し、結果が出るまでの時間が長くかかってしまいます。
これらの問題を克服するために、アプリケーションの高並列化のため、共用開始前から「京」の計算資源の提供や、技術的サポートを行い、システム(京)側に問題点が見つかれば、システムの改善を行いました。これにより、共用開始時に、39本のアプリケーションが1万並列以上で十分な性能を出せる準備が整いました。

「京」でのアプリケーションの高性能化

アプリケーションの高性能化

「京」は、他のスカラー計算機と同様に、メモリからのデータ供給能力が演算性能に比べてあまり高くありません。このため、計算に多くのデータを必要とするような流体計算や構造解析などのアプリケーションの一部で、性能を出すことが比較的難しいと言われています。これについても、例えば演算の順序を変えて、同じデータを何度も使えるようにするなどの高性能化を行うことで、共用開始時に、17本のアプリケーションで20%以上の効率を達成することが出来ました。

手法によるアプリケーションの分類

計算対象 名称 主な方程式 概要
電子

(分子,結晶)

分子軌道法(MO) Hartree-Fock 法 電子の量子状態を水素原子の電子で近似して計算する手法.化学反応や分子の形・性質を計算できる.
密度汎関数法(DFT) Kohn-Sham 方程式 量子現象を電荷分布における電子の運動と近似して計算する手法.化学結合やデバイス特性などが計算できる.
磁性・電子 モンテカルロ法

(MC)

Hubbard 模型,

Ising 模型,

詳細釣り合いの条件

運動が確立的に起こる量子現象などを,サンプリングを行い,統計的に処理をする.最適化問題にも使われる.デバイス特性などが計算できる.
厳密対角化法(ED),

密度行列繰り込み群

法(DMRG)

Hubbard 模型,

Ising 模型

磁性など量子現象をハミルトニアン行列の対角化問題として扱い計算する.デバイス特性などが計算できる.
物体

(分子・原子・

星・プラズマ)

粒子法(MD, SPH,

PIC)

Newton 方程式 多数の物体に働く力(重力・静電気力)から位置と速度を計算する手法.位置情報から密度ゆらぎ,速度分布から温度・圧力などが計算できる.物体を更に近似して滑らかさを入れたものが SPH 法で,空間メッシュとの力を計算する方法が PIC 法である.
流体・構造体

(気象・海洋・

地震)

有限差分法(FDM) Navier-Stokes

方程式,

Hooke の法則,

Poisson 方程式

連続体の運動をメッシュ上の場の量の変化として解く.流動や変形が計算できる.
有限要素法(FEM) 連続体の運動をメッシュを用いて,高次補完をしながら計算する.メッシュは不均一なものを用いることが可能である.変形と応力集中や流速,渦の様子などが計算できる.
境界要素法(BEM) 連続体の方程式を境界上のみの式に変形し計算する.計算量を低くおさえることが出来るが通信は増える.
有限体積法(FVM) 連続体の運動をメッシュを用いて,近似解を求める.様々な形状に適合するが,精度を上げることは困難とされる.